[原子力産業新聞] 2000年1月5日 第2019号 <4面>

[年頭所感] 通商産業大臣 深谷隆司

脱 CO2 社会の構築へ

平成12年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。

今年は、20世紀最後の年であります。今世紀を改めて振り返ってみますと、我が国にとっては、二度の大戦を経て極東の一小国から世界GNPの約15%を占める経済大国へと発展を遂げた、起伏に含んだ波乱万丈、激動の世紀でありました。また、今年はミレニアム(千年紀)の節目の年でもあります。平安時代中頃から始まりました西暦干年代を振り返りますと、この間の人々の営みの変化や社会の進歩には驚くべきものがあります。

そして21世紀を目前に控えた今、我々は残念ながら将来の自画像を描けずに立ち止まっております。不透明で不確実な世紀をどうやって切り開いていったらいいのか、未だ答えを見出すには至っておりません。

今年は、新世紀・新千年紀に大きくステップアップするための最後の準備の年となります。次の百年、次の千年に何が起きるかを現段階で予測することは困難ですが、少なくとも、新たな環境変化に対応するだけのしなやかな経済社会システムを構築しておかなければならないということだけは言えるでしょう。

このような時代認織の下、気を引き締めて日本の経済社会運営、構造改革に努めてまいりたいと考えております。

(ミレニアム・プロジェクトの推進)

新たな千年紀を迎えるにふさわしいプロジェクトとして「ミレニアム・プロジェクト」を立ち上げ、情報化・高齢化・環境対応の3分野を中心に技術開発等を進めてまいります。

環境対応分野では、ゼロ・エミッションの循環型経済社会を構築すべく革新的な廃棄物・リサイクル技術等の開発や地域経済社会におけるリサイクルモデル事業の導入・普及に関する事業を総合的に実施するほか、自動車用・家庭用小型燃料電池等を活用した脱 CO2 社会の構築および有害化学物質の完全管理体制の構築を図ってまいります。

(原子力安全対策と環境・エネルギー制約への取組)

昨年発生した東海村の原子力事故は、誠に不幸な出来事でした。この事故による教訓は、原子力分野に携わる者すべてが肝に銘じておかなけれぱなりません。当該事故を受け、昨年の臨時国会において原子力災害対策特別措置法の制定および原子炉等規制法の改正を行ったところであり、今後も引き続き安全性確保および防災対策強化に向けた体制整備を講じていく所存です。

一方で、我が国の脆弱なエネルギー構造、環境などの制約、経済成長の観点から、我が国のエネルギー供給において重要な位置を占めている原子力に係る政策は引き続き着実に推進していく必要があります。そのため、原子力立地地域の振興等を通じて原子力の円滑な立地を進めるとともに、高レベル放射性廃棄物処分の実施に向けた体制整備を行うための法案を次期通常国会に提出する等、核燃料サイクルの早期確立を図ってまいります。

今年は環境規制にも果敢に取り組まなければなりません。地球温暖化対策については、京都議定書の早期発効に向けて、本年11月にハーグで開かれる気候変動枠組条約第6回締約国会議(COP6)において「京都メカニズム」の具体的制度等、主要論点について結論が得られるよう、国際的に議論を進めていく必要があります。

廃棄物・リサイクル対策については、きめ細かなリサイクルシステムの構築をより強力に推進するとともに、1R(リサイクル)から3R(リデュース、リュース、リサイクル)への取組を拡大してまいります。

(経済産業省の発足に向けて)

数年来議論されている行政改革は、単なる行政機構の改革にとどまらず、その目指すところは、戦後の行政システムを抜本的に改革し、簡素にして効率的かつ 透明な行政システムを実現することです。通商産業省は、来年1月1日に経済産業省へと生まれ変わりますが、21世紀という新しい時代に相応しい行政の実現 を図るべく、最大限の努力をしてまいります。


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