[原子力産業新聞] 2000年1月13日 第2020号 <2面>

[長期計画] 第3分科会、FBR開発で本格検討

「もんじゅ」は不可欠との指摘も

原子力委員会・長計策定会議の第3分科会(座長・鈴木篤之東大教授、西沢潤一岩手県立大学長、FBR関連技術の将来展開)の第4回会合が12月20日、東京都内で開かれ、今後のFBRの研究開発の方向性などについて本格的な検討をスタートさせた。

相澤委員(サイクル機構)は、長期的に持続可能なエネルギー源としてウラン資源の利用効率を飛躍的に高め、放射性廃棄物発生量の減少と再利用(リサイクル)により環境負荷を低減できる特徴を持つFBRの実用化を図ることは重要だとの認識を示した。加えて、「もんじゅ」はプラントの運用、妥当性、信頼性、安全性の判断の情報握供の意味からも発電システムの実用化にとって不可欠だと強調した。

秋元委員(三菱マテリアル)は、FBRは資源の1%しか利用しない軽水炉に比べ、99%を利用でき、資源論的にも開発すべきだが、核燃料のトータルスキームの中で計画を作るべきだとした。「もんじゅ」については使命をきちんと果たすことが重要だと述べた。栗屋委員(武蔵野美術大)は、原子力技術は資源のない日本として50〜100年先を考えれば継承していくことが重要で、現在はFBR研究開発は進めるべきだとし、一般の人達の合意形成の必要性を指摘した。

近藤委員(東大)は、1.国としてどういう観点、価値で重要と考えるか、2.どれだけの国の資源を投入すべきか、どうやって決めるか、3.基礎・基盤技術研究開発の強化−という外部設計の観点から議論すべきだと提起した。その他、「低減速スペクトル炉は軽水炉からFBRの中継ぎとして有望な炉型として開発に取り組む必要がある」(斉藤委員・原研)、「小型で多くのオプションを取り入れて開発していくベきだ」(関本委員・東工大)、「FBR戦略は短期間の情勢に左右されることなく、究極の姿を設定して柔軟性・助長性をもって現実の状況からその目標に到達し得るシナリオとして再構築する必要がある」(平岡委員・電中研)、「開発目標は安全性の確保を大前提に軽水炉や他電源と競合できる経済性を達成すること。炉とサイクルの整合性や核不拡散にも配慮すべき」(山崎委員・原電)、などの意見が出された。

一方、吉岡委員(九大)はFBR発電システムを他のエネルギー技術の研究開発プロジェクトとの間で、競争的に評価することにより、その推進の妥当なあり方についての判断を導いていくべきだと主張した。また現役の実用化計画は廃止し、技術保存の方策を講じることが妥当と述べ、多様な技術検証計画と基礎実験計画を企画立案し、その中の有望なものを他のエネルギー研究開発プロジェクトとの競争的な選抜によって採用するのが妥当だとした。「もんじゅ」は技術保存計画に含め、「常陽」は実用化計画のサポートを目的とするのならば廃止すべきだとした。

若林委員(未来エネルギー研究協会)は、FBR実用炉の建設開始は2050年頃を目標とし、「もんじゅ」による長寿命核種分離試験の開始は2010年頃からが妥当だとした。

次回の会合では、国際協力、実用化戦略研究の検討状況について審議する予定。


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