[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <1面>

[円卓会議] 各党国会議員出席し議論

国会での議論のあり方を模索

原子力委員会の設置する「原子力政策円卓会議」の第6回会合か13日、六つの政党に所属する衆参国会議員6名と、鳥井弘之日経新聞論説委員、科学ジャーナリストの中村政雄氏出席のもと、東京・千代田区の東條会館で開催された。その中でエネルギー・原子力問題を国会で今後どのように扱うかが焦点になり、これまで以上に議論していくことが重要だとする点で一致した。また核燃料サイクルに関連して「もんじゅ」の今後のあり方等についても議論が行われた。各党の国会議員が一堂に会し原子力政策全般をテーマに議論するのは原産会議の年次大会の場等ではあったが、原子力委では初めて。

「エネ法もとに政策を」加納氏提案

まず各議員からの意見陳述が行われ、その中で井上義久衆院議員(公明党)は原子力発電はエネルギー安定供給の役割から、「相当長期にわたってわが国の基軸エネとして位置づけられていく」としたが、相次ぐ事故や高レベル廃棄物問題のため、国民の間に不安感が高まっていることから、原発新規増設は見直し、改めて「国民的コンセンサス」を得る必要性を訴えた。辻一彦衆院議員(民主党)も省エネの推進や新エネの開発を強調したものの、今後とも原子力への一定の依存は避けられないとの見方を示した。

一方、吉井英勝衆院議員(共産党)は現在の原子力技術は未成熟とみて、原発を新規に増設すべきでないとし、老朽化、使用済み燃料貯蔵施設の逼迫、余剰プルトニウムなどに対処することを緊急課題と指摘した。

また、電力業界出身の加納時男参院議員(自民党)は、最近の訪米に際しての廃棄物施設視察、米エネルギー省幹部らとの懇談の経験から、廃棄物隔離パイロットプラント(WIPP)の受け入れ進捗を例に「NIMBY から PIMBY (Please In My Backyard)へ」と提唱した。

後半の討論ではまず、国会でどういう形で議論できるかが焦点となり、衆院の科学技術委員会に参画している議員らからは、現在の国会常任委については過密な法案審議や事故対応のほか、議事が国民に理解されておらず、党の利害関係も絡んでいることが問題として挙げられ、エネルギー・原子力問題全体について国会が積極的にコミットしていく必要が強調された。特に、加納氏は原子力が多くの分野にわたる問題をはらんでいることから、関係省庁参画、超党派で議論できる特別委を設置するほか、エネ基本法を制定してそれをベースに政策手段の誘導を図っていくことを提案。

さらに、核燃料サイクル関連については、これまで「もんじゅ」に多額が投資されてきたにもかかわらず、いまだ高速増殖炉(FBR)実用化の目処が立たないことを指摘し、「FBRはその位置づけを明確化すべき」「使用済み燃料再処理についても今後の科学技術の進歩を待っては」などと慎重な意見が各代議士から聞かれた。それらに対し、加納氏は将来におけるFBRの必要性を睨み、「もんじゅ」再開へ向けた安全審査をスタートさせ、日本が世界のトップリーダーとして研究開発を進めていくことを訴えた。

円卓会議は来月7日の会合終了後、原子力委への提言をまとめることになるが、その中に今回招聘者から提案された、エネ源として脱原発の選択肢も考えること、国会で原子力政策を議論すること等が盛り込まれる見通しだ。


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