[原子力産業新聞] 2000年1月20日 第2021号 <3面>

[スロベニア] IAEAの専門家チーム、原子力法整備を勧告

スロベニアの原子力安全行政局(SNSA)は6日、昨年に同国を視察した国際原子力機関(IAEA)の専門家チームから、同国の原子力開発計画全体の管理と原子力発電所の検査手続き強化を目的とする法律の導入を勧告されたことを明らかにした。

ベルギー、チェコ、フィンランド、イタリア、スイス、米国およびIAEAの専門家9名で構成される国際規制審査チーム(IRRT)は昨年、SNSAの要請により同国で稼働する唯一の原子力発電所であるクルスコ発電所(66万4,000キロワット、PWR)などの視察を含めて2週間、滞在。同国原子力開発における法的および行政的な責任分担や原発の検査体制、緊急時計画、放射線防護などの分野について審査したほか、SNSA、関係省庁、放射性廃棄物の担当機関、技術支援団体、およびクルスコ発電所の職員にもインタビュー調査を行った。

IAEAが作成する最終報告書は今後、2、3週間以内に正式にスロベニア政府に提出される予定だが、12月10日に報告書案の段階で32の勧告事項と24の提案事項、原子力規制機関の利益に資する7つの善例が提示されていたもの。

報告書案は、何よりもまず原子力発電や放射線、放射性廃棄物、輸送安全などの規制手続きに関連するすべての政府機関の間で責任と役割の分担を明確に定義する法律を導入するよう強調。87年に創設されたSNSAに対しては特に、「国際的にも最良の評価を受けた慣行例に従って活動する、強力な規制機関としての権限と責任が与えられるべきだ」と指摘した。SNSAについてはまだ、「土気が高く、有能でよく訓練された人員を配置している」との高い評価を下しており、許認可手続きにおいて必要となる独立の安全評価の手配についてもSNSAが権限と人的および財政的資産を確保できるよう、新たな法規の中に適切な条項を盛り込むべきだと指摘している。

このほかの勧告条項としては、1.放射線防護に関する新法とSNSAが協力する、2.SNSAの原子力発電所検査計画を強化する、3.原子力および放射線関連の国の緊急時対策を改善する、4.核医学や放射線診断における典型的な被曝線量を決定するための国家計画を開始する−などが挙げられている。


Copyright (C) 1999 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.