[原子力産業新聞] 2000年1月27日 第2022号 <2面>

[放利振協会] 放射線プロセスシンポを開催

 放射線利用振興協会は18日、19日の両日、第8回放射線プロセスシンポジウムを東京都千代田区の国立教育会館で開催した。同シンポはシンポジウム実行委員会(委員長・石榑顕吉東大教授)と共催し、隔年で開いているもの。

 初日の冒頭、石榑委貫長が挨拶し、今日、放射線利用は広い分野に浸透しており、それぞれの分野の専門家はこれら他の違った分野の情報を得ることは難しくなってきていると述べ、今回のシンポを通じて情報交換などを強めて欲しいと期待した。

 講演では、近年新型電子加速器を用いて様々な用途を満たす照射サービス業が急増している照射分野の事業紹介が行われ、日本で初めてというロードトロン電子加速器(原子燃料工業)や電子加速器を用いたX線照射(日本照射サービス)などの特徴の報告が行われた。また公害対策の有力な装置として注目されている電子ビーム排煙処理プラントについて、中部電力の西名古屋火力発電所と荏原製作所が中国成都の火力発電所に設置した電子ビーム排煙処理プラントの建設や成果状況について発表された。その他、先端科学にとって不可欠となっているイオンビームの実用利用・研究の紹介などが行われた。

 2日目に「我が国における放射線利用の経済規模」と題して発表した原研高崎研の柳沢和章氏は、科技庁からの委託調査で実施している放射線利用の経済規模(直接的経済規模)についての予備的調査の概要を紹介した。それによると、放射線利用の経済規模は工業利用が約1兆7,000億円、医学医療利用が約1兆5,000億円、農業利用か約93億門で、総額約3兆2,000億円となっているとした。これは97年度の我が国GDP(494兆円)の約0.6%に相当するという。


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