[原子力産業新聞] 2000年1月27日 第2022号 <4面>

[アイ・イー・エー・ジャパン] 海外のJCO事故報道、各国メディア強い関心示す

 アイ・イー・エー・ジャパンはこのほど、JCO臨界事故に関連して欧米・アジアで報道された内容を整理して調査報告を取りまとめた。 調査は欧米とアジア諸国13か国の主要な新聞・雑誌の他、米国AP通信、英口イ夕ー通信、共同通信を加えた計44メディアが対象で、報道については事故発生から10月3日、論評報道は同14日までを対象期間とした。

 調査結果よると、これらメディアが期間中報道した記事の総件数は522件に上り、国内を除くと最多は独の「南ドイツ新聞」の23件、次いで韓国の「朝鮮日報」と米の「LAタイムズ」がそれぞれ19件など、特に独の関心が高かったと分析している。一方、件数が少ないのは露、中国、タイ、ベトナム、インドネシアなど。社会主義体制を堅持している国では、国民に不安を与え社会に混乱をきたさないよう報道を自粛するなどマスコミ規制を敷いたためとみている。

 誤報道については10月3日までに25件あり、その大半が事故を「爆発」「火災」が発生したとしている。この原因は共同通信の配信に同じ誤報道がみられることから、「初期情報の混乱」にあるとしている。特に、アジアでは「放射能漏れ」など、英では事故が再処理施設での使用済み燃料切断中に起きたとするもの、またインドネシアでは施設の天井が飛んだという誤情報が流れていた。

 論評について目立ったのは、日本が原子力に依存せざるを得ない状況には一定の理解を示すものの、原子カ産業が施設の安全性を軽視してきた「つけ」が今回の事故になったという主旨のものだった。さらに、ここ数年日本の原子力施設は多数の事故に見舞われており、以前から決して高くなかった公衆の信頼の低下が決定的になったというものもあり、中でも「グリーンピース」は多くのメディアで日本の原子力事情について警鐘を鳴らすコメントを出している。論評のタイトルには「原子力からの死刑宣告」などの刺激的な見出しもみられた。また国ごとにみると、脱原子力を進めている独では、日本の事故を契機に早期撤退の正当性が証明されたとの見方もされているほか、英でも日本にMOX燃料を製造しているBNFLへの影響が懸念されるなどとしている。一方で、ロシアでは痛烈な批判記事は目立たず、大震災に見舞われた台湾では危機管理から捉える記事が多かった。


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