[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <2面>

[原子力安全委員会] JCO事故、周辺住民等の健康への「影響なし」

 原子力安全委員会の健康管理検討委員会(主査・長瀧重信放影研理事長)は1月25日、JCO事故による施設周辺の住民等の健康管理のあり方についての「中間とりまとめ」を公表し、周辺住民等の被爆による健康への影響は放出された線量は小さく、これによる影響は十分に小さいとした。今年度中に最終報告をまとめる。

 とりまとめによると、科学技術庁がまとめた周辺環境の線量評価を踏まえると、周辺住民等に対する放射線影響は(1)しきい値線量を超えた場合の発がんと遺伝的影響以外の放射線による「確定的影響」は、影響が発生する線量レベルではない(2)発がんや遺伝的影響が線量の増加に応じて発生確率が直線的に増加するという「確率的影響」も放射線が原因となる影響の発生の可能性は極めて小さく、影響を検出することはできない――と結論し、「周辺住民等に対して、放射線の身体的な影響の有無を確認するため特別な健康診断は考えられない」と述べている。

 なお、今後は推定線量が1ミリシーベルトを越える者について健康診断や広く住民一般の希望者を対象に健康相談を行うことが適当だとしている。健康診断については、健康に関する一般的な助言に資する目的から年1回独自に行うことが適当と指摘している。また健康相談では心のケアヘの対応にも配慮すべきだとしている。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.