[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <2面>

[日本機械学会] 「倫理規定」を制定

 総会員数4万5,000人を数え有数の学会である日本機械学会(会長・井口雅一東大名誉教授)はこのほど、「自らの良心と良識に従う自律ある行動が、科学技術の発展とその成果の社会への還元にとって不可欠だ」などとする「倫理規程」を制定した。

 綱領はまず「技術者としての責任」に言及し、会員は自らの専門的知識、技術、経験を活かして人類の安全、健康、福祉の向上・増進を促進すべく最善を尽くすべきとし、「社会に対する責任」として、人類の持続可能性と社会秩序の確保にとって有益であるとする自らの判断によって、技術専門職として自ら参画する計画・事業を選択するとしている。

 また「自己の研鑽と向上」では、科学技術に関わる問題について、常に中立的・客観的な立場から正直かつ誠実に討議し、責任を持って結論を導き、実行するよう不断の努カを重ねるなどをうたっている。その他では「情報の公開」「契約の遵守」「他者との関係」「公平性の確保」について定めている。

 同学会によると、国内の工学系の学会で最近改めて倫理規程・綱領を制定したのは情報処理学会、電気学会、土木学会、建築学会などがあり、欧米では倫理規程等に関連するアクションプランも制定されているとしており、こうしたことから同学会では「倫理綱領ワーキンググループ」を設置して立案し、昨年12月に当該規程を承認した。

 最近、原子力界でも技術者の倫理、モラルの低下が指摘されており、昨年3月の原子力学会春の年会で、工学倫理の権威であるH・ルーゲンビール米ローズハルマン工科大教授が特別講義し、日米協力して倫理問題を扱うことを提言している。


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