[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <2面>

[原電] 敦賀3、4の具体化を

 日本原子力発電は1月24日、2000年度経営の基本方針を発表。2000年度を「ゼロからのスタートの年」と位置づけるとともに、発電所の安全・安定運転や敦賀発電所3、4号機増設計画の具体化などを柱に、「新たな企業像」の構築に向けて全力を傾注していくことにより、次代おける一層の発展を目指すという方向性を打ち出した。

 JCO事故で原子力に対する信頼性が揺らいでいる一方、3月から電力小売りの部分自由化が始まるなど電力市場は新たなステージを迎える。このような状況にあって原電は、敦賀発電所の長期定検、同2号機の一時冷却水漏れ、東海第2発電所の炉内中性子計測ハウジングの不具合により、昨年8月20日以降発電電量ゼ□の状態が続いている。

 今回発表された基本方針では、こうした状況を同社の「存在をも揺るがす危機的状況」と厳しく受け止め、発電「ゼロ」の状況を早期に脱し、2000年度を「ゼロからのスタートの年」と位置づけ、全社を挙げて厳しい経営環境の克服に向け対応していくとしている。

 具体的には、発電所の安全・安定運転に関して、技術力の強化やトラブル発生を抑えることに様々な方向から注力して、低廉な電気の供給を目指す。また新規事業については、2008年、9年に運開を予定している敦賀発電所3・4号機(各APWR)増設を中心に掲げ、同計画を地域の理解と協力を得て具体化していくとともに、2基で8,300億円と見積もられている建設費を、建設工程の効率化、設計の合理化などにより低廉化を図る。

 また1昨年に営業運転を終了した東海発電所の廃止措置基本計画を年内に取りまとめるほか、改良型BWR設計高度化、核燃料サイクルヘの取り組みとして中間貯蔵を含む使用済み燃料対策、プルサーマル計画の着実な遂行などを推進し、さらには将来を見据えて、FBR実用化戦略調査研究や、中・小型炉研究開発に積極的に取り組んでいく。

 一方、原子力に対する信頼の回復に向けては、昨年12月に発足したニュークリアセイフティネットワーク(NSネット)への協力に加え、地域における防災支援体制の整備、学校での原子力教育実現へ向けた働きかけや、徹底した情報公開による理解促進活動活動を積極的に展開していくことなどにより、JCO事故により生じた原子力に対する不信感・不安感の払拭を目指す。

 また同基本方針では、目前に迫った来世紀へ向けた企業像の構築もうたわれており、同社の経営改革委員会が97年度から検討を進めている「将来構想」を早急に取りまとめることや、情報システムの活用による本店管理間接部門人員のスリム化(97年度比マイナス30%、当該年度達成の見込み)に加え、顧客や株主のステークホルダー(企業の利害関係者)と事業成果を共有していくための方策についての検討も行っていくということだ。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.