[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <2面>

[電事連] 新エネの議論は「政策全体の中で」

 電気事業連合会の太田宏次会長は1月21日の会見で、新エネルギーに触れ、新エネルギー促進については客観的かつ冷静な議論が必要との考え方を示した。

 太田会長は今年の電力業界の課題として(1)3月からスタートする電力小売りの部分自由化(2)原子力の信頼回復――などを挙げた後に、総合エネルギー調査会に新たに設けられた「新エネルギー部会」の議論、自然エネルギー買い取り業務に関する議論などから、「今後、新エネがクローズアップされる可能性が大きい」と述べ、「(事業者として)ぜひ、原子力や新エネの位置づけをバラバラにではなく、エネルギー政策全体の中で議論していただきたい」と要望した。

 同会長はまた、(1)自然エネ導入については電力業界が消極的との意見が多いが、太陽や風力を出来る限り活用するということについては全く異論はない。太陽光発電などについては全量を電気料金と同額で引き取ったり、事業目的の風力発電についても、火力燃料費の2倍以上の価格で15年以上の長期に渡って買い取るメニューを用意するなど、自主的に支援して来た(2)日本が欧米に比べて新エネ導入が遅れていると思われているが、国や電力の支援の結果、太陽光発電はアメリカと並んで世界一の水準となり、風力発電の導入量も、ここ数年で急速に伸びている――と述べ、国や電力が今まで新エネ促進に大きな役割を果して来たことを強調。また「新エネルギーについては期待のあまり、バランスを欠いた議論となりがち」と警鐘をならしつつ、例えぱ風力発電の場合には出力が不安定であるために、周波数維持など技術的理由から導入数に限界があったり、バックアップ電源が必要であるなどデメリットも多いとの実例を挙げ、こうしたことを「どう評価し、解決するのか、事実や数字に基づいた具体的な議論を掘り下げる事が重要と思う」と述べた。


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