[原子力産業新聞] 2000年2月3日 第2023号 <3面>

[フランス] 炭素税の導入を提案

 フランスのL.ジョスパン首相は1月19日、閣僚会議後、温室効果ガスの排出抑制を目標に炭素税の導入を盛り込んだ10年計画を公表した。

 同計画には97年の京都議定書で提示された目標値の達成を目指す約100項目の方策が示されており、来年からの導入が提案されている炭素税はそのうちの1つ。発電のみならず暖房などの生活部門や輸送も含めて炭素を排出するすべての活動に課されるとしており、排出量1トンに付き一律150〜200フランの直接税の支払いが義務づけられる。2010年までの10年間に1トンあたり500フランにまで徐々に増額されていく仕組みで、欧州のほかの国々で検討されているような、排出量に関係なく電源ごとに適用される税方式より非常にわかりやすいものとなっている。

 国内重工業の代表らはこの計画に反対意見を表明しているが、その一方でこの方式は、2003年まで250米ドル/トンに増額していく方式の炭素税導入を提唱した98年の国際エネルギー機関(IEA)の報告書や、化石燃料の炊き増しによるエネルギー市場の偏りを是正するため英国王立協会や王立エンジニアリング・アカデミーが最近、英国での導入を勧告した炭素税と基本路線を同じくするものと評価されている。

 京都議定書でフランスは2010年までに年間の炭素排出量を90年レベルの1億4,400万トンに削減しなければならないことになっているが、現行どおりに進めば2010年の排出量は1億7,500万トンに達すると予測されている。ジョスバン首相は「わが国の国民1人あたりの排出量は,原子力発電のおかげで、欧州連合の平均レベルよリ25%、米国と比べると70%も少ない」と指摘。「すでに少ない排出量をさらに削減するのは非常に困難」との考えを表明している。


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