[原子力産業新聞] 2000年2月10日 第2024号 <3面>

[OECD/NEA] 原子力の資本費削減で報告

 経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)は3日、資本費の安い電源に対して原子力の潜在的な競争力を最大限に発揮させることを目標に、スケールメリットの重視や原子炉の標準化など発電所を建設する際の効果的な資本費削減方法について分析した報告書を発表した。

 これはNEAに加盟する原子力発電国の専門家の経験および見解を集約したもので、同報告書はまず、「経済的な競争力こそ将来のエネルギー・ミックスにおける原子力のシェアを決定づける最重要ファクター」と言明。原子力は火力に比べて運転・保守費と燃料費が安い一方、資本集約型の発電システムだという特徴に触れ、今日では原子力発竜所の建設に要する投資額が発電コストの6割を占めているという事実からも、資本費の削減方法を明確にすることが競争力を発揮するための最優先事項だと訴えた。

 

 80年代の半ば以降、化石燃料の実価格が下がり、コンパインド・ガス・サイクル発電所で根本的な技術開発が進んだことは原子力発電所の実質的な競争力を削ぐ形となった。また、多くのOECD加盟国で電力部門の大規模な構造改革と規制緩和が実行されている。しかし同報告書は、原子力発電を利用する各国が資本費削減のためのあらゆる方策や長所を活用・統合していけば原子力が一層競争力を持つことは可能だと結論づけている。

 報告書は実際に資本費の削減が可能な項目を次の8つにまとめた。すなわち、(1)原子炉の大容量化(2)工法の改善(3)建設日程の短縮(4)設計改善(5)機器の調達方法や建設体制、契約面での合理化(6)設計の標準化と建設のシリーズ化(7)複数基の建設(8)規制・法制面での改革――など。

 これらの中でも容量は大き目に、同一サイトに同型炉を複数基建設するのが資本費の最大の節約に繋がると指摘しており、(1)の具体例として同報告書は、67万キロワットの炉を1基作る代わりに、容量を31%増しの88万キロワットとした場合、資本費が12%減らせるとの報告がカナダからあったことを明らかにした。

 (6)、(7)の例としては仏電力公社およびフラマトム社の調べで原子炉の安全系を統合したり、初号機特有の費用が不要になれば単基だけで建設した場合の2〜4割の資本費削減が可能との結果が出たことを紹介。スウェーデンでも初号機と同型の炉を2基、3基と続けて建設することにより平均費用を15〜20%抑えることができたほか、米国、カナダからも同様の報告があったと伝えている。

 (2)については、資機材を天井部からの搬入する工法や機器のモジュール化、配線の工夫などにより5%はコストダウンが可能だと指摘。ただし、節約できる額は原子炉の型やサイトの状況で左右されるとの考えを示した。

 (4)に関して報告書は、設計費が総工費の約1割を占めているため、原子炉の配属や出入りのし易さ、設計の単純化、コンピュータを使ったシュミレーション考えられると説明。こうした研究が現在、受動的安全性を持った原子炉の開発に貢献していることを指摘した。

 (8)の点については、TMI事故後の米国の対応や次世代型原子炉の開発を念頭に置いた西欧諸国の共通電力要求項目(EUR)作成状況を例に取り、許認可手続きの安定性こそ建設最終段階での設計変更や遅延、改造などを避けるという意味で、資本費削減のために2番目に大きな影響があると強調している。


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