[原子力産業新聞] 2000年2月10日 第2024号 <5面>

[総合エネ調・新エネ部会] 潜在量は実績値の6〜9倍

 総合エネルギー調査会の新エネルギー部会(部会長・柏木孝夫東京農工大学教授)は1月27日、第2回会合を開き、通産省・資源エネルギー庁がまとめた新工ネルギーの潜在性と経済性について議論を行った。

 報告では、新エネの潜在性について(1)その導入に係わる時間的制約および社会的条件などを捨象した単純な仮定(現実性の裏付けのない仮定)の下での究極的なエネルギー量である「物理的限界潜在量」(2)これをベースに社会的条件などを念頭に置いた一定の導入割合を幅を持たせて得られる値である「実際的存在量」――の2種類に分類して示した。結果、新エネには実際的潜在量で、98年度導入実績の6〜10%に相当する3,800万〜6,400万キロリットル(原油換算)を供給する可能性があるとの試算値を得たとしている。内訳は太陽光発電1,000万〜2,100万キロリットル、風力発電100万〜200万キロリットル、廃棄物発電・熱利用700万〜1,000万キロリットルなど。なお、物理的限界潜在量について同資料では、「社会的条件などを全く考慮に入れない非現実的なものではあるが」としながらも、原油換算で約1億2,700万キロリットル、現在の導入実績の約20倍との試算値を示している。

 一方経済性でについては、将来の技術開発などを見込んだ見込み値が提示された。それによると利子率4%、償却年数は運転年数という仮定を用いた結果、キロワット時あたりの発電コストは太陽光発電(住宅用)24円、同公共施設等用28円、風力発電(売電事業用)11円、廃棄物発電9円などとなり、加えてCO2排出抑制に効果があることなどから、環境特性コストも考慮することが適当とされた。なお、昨年12月にエネ庁から示された原子力発電の発電コストは、1キロワット時あたり5.9円となっている。

 会合ではこのほか、海外の新エネ導入の現状および政策の動向が紹介された。


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