[原子力産業新聞] 2000年2月17日 第2025号 <2面>

[米NEI] 原子力発電の付加価値アピール

 米原子力エネルギー協会(NEI)が1日付けで伝えたところによると、同協会のJ・コルビン理事長はこのほど、ニューヨークで開かれていた米国の主要な財務アナリスト達の年次集会で発言し、米国で稼働している103基の原子力発電所は信頼できる運転実績や安定価格での電力供給など多くの点で優れた、価値の高い電源であることをアピールした。

 コルビン理事長はまず、原子力には電力市場における卸売価格よりもさらに意義のある、根本的な付加価値が備わっていると述べ、日々改善されつつある原子力の発電コストは明らかな競争力を持つと断言。原子力の具体的な付加価値が示される分野として次の6項目を列記した。

 すなわち、(1)改善された運転実績=これは信頼性の高い操業と設備の改造、停止期間の短縮、高い燃焼度、運転・保守(0&M)費の削減などを通じて達成可能。

 

 (2)将来の安定性の高い電力価格=価格の安定した電力供給を必要とする大勢の需要家達に電力を販売できる。

 (3)送電システムの支援=原子力は送電グリッドの信頼性維持に大きな役割を果たしているだけでなく、電圧保持など特に重要な補助サービスをも担っている。

 (4)サイトの付加価値=原子力発電所は電力の出入リロとなるグリッドのアクセス・ポイントや変電所として機能するほか、多くの場合、実際に建設された原子炉に加えてさらに多くの発電設備を建設する敷地面積が残されている。

 (5)大気の清浄化=原子力の活用によって抑制される温室効果ガスの排出は、大気清浄化のために化石燃料発電所で要求される設備改善費用を削減することができる。

 (6)管理技術=原子力発電所の運転員が現場で培った管理技術はほかの事業にも十分活用可能。それらには原子力発電所における厳密な記録管理や重要な情報技術システムの操作、従業員の訓練プログラム実施、保守点検の日程管理などが含まれる。

 コルビン理事長は特に(5)の分野で原子力の価値が正当に評価され、その恩恵が発電所従業員達にも還元される日がくるよう働きかけていくつもりだと付け加えた。


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