[原子力産業新聞] 2000年2月17日 第2025号 <2面>

[日本原研、米国立研] ダイバーダ設計通りの性能確認

 日本原子力研究所は8日、日米の共同試験によリ国際熱核融合実験炉(ITER)用ダイバータが設計通りの性能を実証したと発表した。

 ダイバータは核融合反応で生じる灰(ヘリウム)をプラズマから炉外に排出する機器で、プラズマの純度を保ち、核融合炉の長時間運転には必要不可欠とされる。高温のプラズマからの熱を直接受けるターゲットと呼ばれる受熱部と、それを支持するカセットボディと呼ぶ支持構造で構成されており、ITER用ダイバータは3年ごとに交換する計画になっている。ターゲットはプラズマからの粒子や熱が入り1平方メートル当たり5〜20メガワットの熱負荷にさらされるため、高温に耐える耐熱材料や高い熱負荷を効率よく除去する冷却管の開発が必要で、高い熱を受けるダイバータはITERの中でも最も困難な技術の一つとされており、参加国が分担して開発を進めてきた。今回、日本が製作した受熱部と米国が製作した支持構造を組み合わせた一連の特性試験を完了し、技術的な見通しが得られたことで、ITER建設に向け一歩前進したといえよう。

 日本はターゲットの開発を担当しており、これまでに銅よりも熱をよく伝える炭素繊維複合材料や、従来の約2倍の除熱性能を持つ冷却管などを開発し、軽水炉の10倍以上の熱負荷に耐えることを確認。この成果を受け昨年9月、米・ニューメキシコ州のサンディア国立研究所において、ITERの運転状態の模擬試験を実施した。日本が製作したターゲットを米国が製作したカセットボディに組み込んだ試験体に150度C、40気圧の高温水を流して試験を行い、その解析の結果、機器の変形や各部分の圧力や温度などが設計通りであることを確認し、ITERダイバ一夕の技術的実現性を実証した。

  

 米国が担当したカセットボディは、鋳造ステンレス構造となっているが、一般的な鋳造法では中に空隙が発生して強度が劣化する恐れがあるため、核融合炉用にまず、大型の鋳造体を製作し、その後複雑な冷却配管を加工する方法を採用している。


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