[原子力産業新聞] 2000年2月17日 第2025号 <2面>

[丸紅ユティリティ、ペスコ、日本グラウト] レニングラード原発向け炉心燃料チャンネル供用中検査装置納入

 丸紅ユティリティー・サービス、ペスコ、日本クラウトクレーマーの連合体はこのほど、ロシアのレニングラード原子力発電所に炉心燃料チャンネル供用中検査装置一式を2年がかりで納入した。1999年秋に欧州復興開発銀行の基金による対ロシア原子力安全向上計画の一環として行われたもの。

 

 チェルノブイリ炉と同形の黒鉛減速軽水冷却圧力管式の発電炉は、現在までロシア・東欧圏で安定した運転を続けているが、心臓部の炉心燃料チャンネルの健全性を維持することはオペレータの重大関心事であり、幾つかの供用中検査データの取得と解析が求められた。供用中検査装置の検査項目は(1)燃料チャンネルの内径と肉厚(2)黒鉛孔の内径(3)燃料チャンネル内表面に生成された酸化膜厚(4)燃料チャンネル壁の超音波探傷(5)燃料チャンネルの湾曲度(6)燃料チャンネルの摺動部のずれ(7)ITV(工業用TV)による内表面観察――など。

 丸紅らによると、オペレータの精度等の要求仕様を各項目について実現するため、わが国での経験を含めて多くの開発努力が必要だったという。競争入札であるための価格面の制約にもかかわらず、最適測定原理の選択、限られた寸法の中で検査ヘッドを装置化する、検査工程を自動化し、信号をコンピュータ処理して論理的に提示するなど、わが国の精密機器技術とロボティック技術が発揮された。また「ロシア側の非破壊検査等の技術力は高水準であり、オペレータの要求はどうしても抽象的、理想的に走りがちなので、保守等も考慮した実用性のある装置としてまとめなければならない受注者側と時には相剋もあったが、ここ数年の日口の原子力協力の縁が実を結んで成功裡に完結できた」と語っている。とくにITVはロシア製だったが、当初心配した国産の共通吊下げ機構、信号伝達機構とのマッチングも良好で高機能を発揮できたことは特筆すべきこととしている。

 丸紅らは「この測定装置を駆使して良いデータを取り、炉の安全性向上を図るのはロシア側の努力にかかっているが、日口技術協力の好例であってほしい」と今後の協力に期待を寄せている。


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