[原子力産業新聞] 2000年2月17日 第2025号 <2面>

[原子力安全委・部会] 臨界安全など取入れ核物質輸送の新規則

 原子力安全委員会の放射性物質安全輸送再門部会(部会長・永倉正電中研名誉特別顧問)は1月21日、新たに臨界安全や航空輸送に備えた国内規則への適用を検討した「国際原子力機関(IAEA)放射性物質安全輸送規則(96年版)の国内規則へのとり入れについて」を取りまとめた。

 放射性物質の輸送は、「IAEA放射性物質安全輸送規則」に基づいて日本も含め各国が安全規制を行っている。

IAEAではICRP90年勧告のとり入れなど検討を行い、96年12月に新たな安全輸送規則を公刊し、この新しい体系を2001年1月までに採用するよう各国に呼びかけている。これを受けて、同専門部会は最近の国際間輸送の増大を考慮の上、極力IAEA96年規則を国内規則へ採り入れる方向で検討し、このほど報告書をまとめた。

 それによると、輸送物・輸送方法の技術基準等では、新たにIAEA規則に「臨界安全を確保するために設計者が指定し、かつ当局に承認された輸送容器の構成部品と核分裂生成物質の集合体」として定義・導入された「臨界安全維持体系」や、管理のための「臨界安全指数」や標識を取り入れることなどが適当とされている。

 また、航空輸送の安全性をよリ高めるために規定された「C型輸送物」と、それに課せられる9メートル落下試験、800度C強化耐火試験、水深200メートル浸漬試験などについては、わが国では当面必要はないものの、国際民間航空機関の動向等に注視し、国際輸送にも対応できるよう国内規則に取り入れる方向で専門家らで検討することを求めている。

 さらに、IAEA規則によると化学的危険性に考慮し全ての6フッ化ウラン輸送物に対して、新たに容器関連のISO規定や試験が求められることになり、これについても国内規則に採用することが適当としている。


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