[原子力産業新聞] 2000年2月24日 第2026号 <1面>

[日本原電] 敦賀3・4増設で福井県、敦賀市に事前了解願い

 日本原子力発電の鷲見禎彦社長は22日、同社が計画している敦賀発電所3、4号機増設に係わる安全協定に基づく事前了解願いを、地元福井県および敦賀市へ提出した。計画では同3、4号機はともに、従来型加圧水型軽水炉よりも一層安全性をを向上させたわが国初の改良型加圧水型軽水炉(APWR)を採用し、出力も152万8000キロワットと、世界の単独原子力発電ユニットでは最大のものとなる。着工はともに2004年、営業運転開始は、3号機が2009年、4号機が2010年を予定している。同計画の今後について原電では、環境影響評価報告書の審査や第一次公開ヒアリングの開催を経て、来春には現在の電源開発調整審議会上程(制度が変更のためにどのような形になるか不明)に相当するステップまで進めたいとしている。

 原電の鷲見社長は22日13時に河瀬一治敦賀市長へ、また同日15時に栗田幸雄福井県知事へ、それぞれ事前了解願いを提出。また同社は合わせて、電力事業法に基づく環境影響評価方法書を通産大臣、福井県知事、敦賀市長および美浜町長に提出した。事前了解願いの提出については約5年前から計画はあったものの、阪神・淡路大震災などの影響により提出が遅れていたという。

 同社の計画では、敦賀発電所3、4号機の炉型は通産省と民間が共同で行った第3次軽水炉改良標準化計画の成果をもとに、その後の技術進歩ならびに国内外の運転保守経験などを取り入れたAPWRを採用する。

 APWRは(1)非常用炉心冷却系(ECCS)の強化(2)炉内構造物の簡素化や蒸気発生器の信頼性向上(3)高度なデジタル技術を駆使した計測制御システムの採用(4)炉心性能の向上−などにより、従来型加圧水型軽水炉よりも一層安全性、稼働率、経済性、運転性などを向上させたばかりでなく、作業員の被曝低減なども図られていることが主な特徴。MOX燃料装荷については、燃料初装荷時には予定されていないが、いずれは三分の一炉心程度までの装荷を見込んでいる。

 既存の敦賀1、2号機西側の若狭湾に面した社有地に建設される3、4号機からの発生電力は、関西電力、中部電力および北陸電力への売電供給が予定されている。なお建設費は3号機約9160億円、4号機約3140億円となる見込みだ。

 同計画の今後だが、原電は環境影響方法書の審査や第一次公開ヒアリングの開催などを経て、来年春頃には現在の電源開発調整審議会上程(省庁再編にともない、どの様な形のものになるかは不明)にあたる段階まで進めたいとしている。なおその後は所定の手続きを経ながら、2004年の同時着工、3号機は2009年の、4号機は2010年の営業運転開始を目指していく。


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