[原子力産業新聞] 2000年2月24日 第2026号 <1面>

[中部電力] 芦浜計画再検討へ

 中部電力が三重県の熊野灘の芦浜地区(南島町、紀勢町)に計画している原子カ発電所(135万キロワット×2基)について、北川正恭三重県知事は22日、県議会の所信表明の中で、原子力は現状では欠くことの出来ないエネルギー源だとしながらも、同計画については「地域住民の同意と協力が得られている状態とは言いがたく、この計画の推進は現状では困難だ」とし、「白紙に戻すべきである」との見解を表明した。

 これを受け、太田宏次中部電力社長は、北川知事が原子力発電の必要性について認めたことに感謝するとともに、知事が芦浜計画を白紙に戻したとの意向については「改めて立地計画を検討させていただく」とコメントした。

 芦浜地区への原子力発電所建設計画は1964年に中部電力が決定しており、我が国でも古くからの計画だが、南島町などとの建設交渉が難航Lてきた。97年には当時の南島町長が県議会に提出した同計画の冷却期間を昨年末まで設け早期決着を求める請願が同議会で採択されていた。県ではこの間、県エネルギー問題調査会を設置し広い観点から検討するとともに、昨年11月には北川知事が地元を訪れている。

今回の北川知事のこうした撤回要請は異例のことだが、同知事は、37年間にわたるこうした膠着状態がこれ以上続くことは避けなければならないとの立場から判断したとしている。


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