[原子力産業新聞] 2000年2月24日 第2026号 <2面>

[総合エネ調原子力部会] 原子力産業のあり方を議論

 総合エネルギー調査会の原子力部会は16日、第72回会合を開き、わが国の原子力産業の現状および今後の課題についての検討を実施した。

 会合では初めに事務局が、原子力産業の現状についての説明を実施。国内では1973年度〜97年度まで、毎年度1基以上のベースで新規原子力発電所が営業運転を開始していたのに対し、98年度〜2000年度までは1基もなくなってしまっている。また海外に目を転じても、原子力発電の設備容量は減少傾向にあり、こうした状況を受け、国内の原子力関係の売上高および原子力関係従事者、技術者の数は近年減少傾向をたどり、さらには海外では、欧州を中心に業界再編の動きが見られるなどといった事が紹介された。

 また、わが国の原子力産業の今後後の課題として@「一層の効率化・合理化」=売上高の減少にともない、経営体質強化のために一層の効率化を図る観点から、統合・連携が進む可能性もあり、どのような環境整備が求められるかA「国内技術者、技術基盤維持のための方策」=プラント建設数が減少する中、技術レベルの維持向上、エネルギーセキュリティ確保および、将来を見越した技術開発などの必要性から、技術者の確保をどうするかB「安全対策の徹底」=今後一層の産業競争力が求められる中、大前提である安全対策をどう進めるかC「今後の国際展開・協力のあり方」=原子力需安増が見込まれるアジア地域に対して、欧米企業が進出を展開しているが、「近隣地域の原子力発電の十分な安全水準を確保させる」という観点から、わが国も発電機材、運転管理技術、保守・補修技術を始め、バックエンド対策などの経験蓄積を輸出・移転するなどして、アジア地域の原子力発電安定化に協力すべきではないか。また、世界原子力事業者協会(WANO)に代表される産業レベル交流を、アジア地域においても一層強化すべきではないか―などが提示された。

 委員からは、アジアヘの貢献が進めば人材は自然に育つとする、人材確保についての意見のほか、自由化については「自由化市場の中での原子力の位置づけを明確にすべき」との指摘も出された。


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