[原子力産業新聞] 2000年2月24日 第2026号 <3面>

[米議会上院] 放射性廃棄物法案を可決

 米議会上院は10日、使用済み燃料の中間貯蔵施設の建設などを盛り込んだ放射性廃棄物政策改正法案(上院1287号)を64対34で可決した。

 同法案は原子力発電所からの使用済み燃料および国防施設からの高レベル放射性廃棄物(HLW)を一時的に貯蔵する地上設備と深地下の最終処分場をネバダ州ユッカマウンテンに建設することを目的としたもの。法案賛成に投じられた64票は大統領の拒否権を無効とするには3票足らなかったが、この件に関する議論は今後、下院に舞台を移して行われることになる。

 米国エネルギー省(DOE)は昨年から、ユッカマウンテンを処分場とした場合の環境影響調首書(EIS)案文を今月末までの予定で一般に公開中。国民の意見聴取を終えてEISを完成させた後は、B・リチャードソンDOE長官が同サイトを処分場として勧告するかどうかの判断を下す予定だ。

 今回の上院での法案可決について米原子力エネルギー協会(NEI)のJ・コルビン理事長は、「これでアメリカ国民が温室効果ガスを排出しない最大規模の電源である原子力の恩恵を存分に享受できる可能性が出てきた」と高く評価。「政府の放射性廃棄物対策はすでに当初計画から12年遅れているが、この件に関する政治的膠着状態を打破し、計画を前進させることに貢献した64名の議員達には称賛の意を表したい」と語った。

 同理事長はまた、同法案が首尾よく成立にこぎ着ければ次に挙げるような問題について具体的な方策が得られると指摘している。すなわち、@使用済み燃料の集中貯蔵が承認されるADOEが徴収する「放射性廃棄物基金」が本来目的のために利用されず、いたずらに増加していくことに歯止めがかかるBDOEが98年1月から使用済み燃料を引き取るという約束を履行できなかった問題の解決に同基金が利用されるのを防ぐ―など。


Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.