[原子力産業新聞] 2000年3月9日 第2028号 <2面>

[関電] MOXデータ不正問題で中間報告を発表

 英国原子燃料会社(BNFL)が製造した、関西電力高浜発電所向けウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料製造時の一部データに不正があった問題で、関電は1日、調査結果および再発防止策などを主な内容とする中間報告を取りまとめ、通産省をはじめ福井県、高浜町ほか地元自治体に報告するとともに、2日開催の原子力安全委員会にも提出した。

 報告書は今回の問題点として、BNFL社については管理者・作業者ともに、品質保証や品質管理に対する認識の弱さを指摘。また関電の対応についても、疑義発生後に単純なデータ不正の手口や当時得られた検査員の証言に基づいて調査の方向を絞り込み、「不正の全体像を見失ってしまった」ことなど、反省点を多く挙げている。

 また再発防止策として報告書は、今後海外メーカーにMOX燃料を発注する際の検討事項を抽出するとともに、関電および元請け会社の品質保証・品質管理活動を強化することを挙げている。また合わせて、関電社内体制の強化策にも言及しており、品質・安全に関する経営的諸問題を共有・審議する「品質・安全委員会」の設置の検討や、原子燃料部門に「品質・安全チーム」を設置することなどの対策を打ち出している。

 なお関電は今後、調査検討委員会の得た情報および知見を総合的にまとめ、品質管理および原子力安全分野の社外専門家からも意見を聴取しつつ、再発防止策などについて更に検討を進め、最終報告書を取りまとめる予定としている。

 BNFLのMOX燃料データ不正問題が明らかになったことから、通産省から福島第一・3号機に装荷予定のMOX燃料についても、異なった製造元(ベルギー・ベルゴニュークりア社)ではあるものの、念のためデータ再確認を行うよう指示をを受けていた東京電力は2月24日、ペレット外径およびその他の品質管理データを再確認の結果、適切に管理されている事実を確認したことを通産省に報告した。

 東電は昨年9月、調査の結果ベルゴ社のMOX燃料ペレット外径寸法データおよびその他の品質管理データは、十分信頼できるものであることを確認していた。今回報告されたのは、MOX燃料の製造管理、品質保証体制、品質管理データの取り扱いについて、さらに入念な確認を行った結果で、@ペレット外径測定については、データねつ造の余地はなく、データにも不自然なバラツキなどはないAその他の品質管理データについても、元データが記載されている記録シートの確認により、元データが適切に管理されていることを確認した――ことから、福島第一・3号機に装荷予定のMOX燃料の品質管理データの信頼性は、極めて高いことが再確認されたとしている。なお東電によると、客観性を確保するために今回の確認作業では、ベルギーの第三者認証機関であるAIB−Vincotte Internationalのチェックを受けているということだ。


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