[原子力産業新聞] 2000年3月16日 第2029号 <2面>

[原子力長期計画] 策定会議、「廃棄物を最少に」

第2分科会も中間報告

原子力委員会の長期計画策定会議の第6回会合が2月28日、都内で開かれ、秋元勇巳委員(三菱マテリアル社長)からのプレゼンテーションと第2分科会「エネルギーとしての原子力利用のあり方」の審議状況について近藤駿介座長から報告が行われた。

「21世紀文明とエネルギー」をテーマに報告した秋元委員は、地球はエネルギーを取入れ、物質を循環させ地球上にダイナミックな平衡を作り上げる「ガイア」であると論じる一方、「情報」「物質」「エネルギー」の三つの要素から成る文明社会は生態系破壊、廃棄物処分問題、地球温暖化等の問題が顕在化し、地球の平衡を蝕んでいると指摘。こうした状況を踏まえ資源収奪と廃棄物投棄の最少化「ミニマムエミッション」を目指し、太陽エネルギーのような分散電源を伸ばすことや宇宙原理のエネルギーである「原子力」を循環型社会のエネルギーとして、トータル・システムとしての完結を目指して進める必要があると強調。また「原子力がパラダイム技術」となるためには、NIMBYや先送り症候群、モラトリアム、ポピュリズム政治あるいは行政の克服としてステーツマンシップ(政治的手腕)の確立、責任を分かち合う空間の醸成(公益と私権のバランス確保)、原子力固有のインフラ整備、軍事セクターの桎梏からの解放などの課題を克服していかなければならないと強調した。

第2分科会の審議状況について説明した近藤座長は、これまでの議論を基に、まず「短期的視点」として原子力発電はエネ源の多様化や温室効果ガス排出削減に役立っており、循環型社会に相応しい特性を備えようとしているが、数々の事故等によリ国民の安全に対する不安は高いと述べ、原子力開発利用全般にわたり再点検し所要の制度整備を進める必要があるとした。また中期的には世界のエネルギー市場の自由化・グローバル化が進み、温暖化防止に係わる国際約束の遵守という動きの中で、原子力発電は省エネ、自然エネルギーなどそれぞれの供給特性について国民の理解を得て開発を進めていくべきとし、さらに長期的視点では新しいエネルギー供給技術の準備のための研究開発活動として、FBRや核融合の研究開発は重要だとし、国は短期的なチェック・アンド・レビューを通じて太陽エネルギー技術等も含め進めていく必要があると述べた。


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