[原子力産業新聞] 2000年3月16日 第2029号 <6面>

[NEI-insight] 環境保護庁、提案された貯蔵所基準例を無視

環境保護庁(EPA)はこのほど、高レベル放射性廃棄物貯蔵所として提案されているネバダ州ユッカマウンテンに対し公衆衛生・安全基準を提案した。しかし、その基準は全米科学アカデミーだけでなく原子力規制委員会(NRC)事務局の勧告にも適合するものではない。

議会は1992年、EPA に対しそうした基準を策定するよう指示した。議会によると、こうした基準は「貯蔵所に貯蔵された放射性物質の放出による公衆の個々の構成員が受ける最大年間実効線量当量を規定する」もの。議会はさらに、「こうした基準はユッカマウンテン・サイトにだけ適用される基準とするものとする」と指摘していた。

議会は全米科学アカデミーに対しても勧告をまとめるよう指示。これを受け、アカデミーは勧告を作成したが勧告のベースになっていたのは、個人のリスクを抑制するために必要な要件で、ユッカマウンテンの地下水基準については勧告しないと明記されていた。

科学アカデミーの勧告は、30年間にわたる科学的調査の集大成であり、地層貯蔵所のパフォーマンスを最も適切に測定できるのは健康をベースとした個人の防護基準であるとの結論に達していた。

EPA は、科学アカデミーや議会によるこうした指示に逆らうように、地下水に関する別の制限を設けることになる高レベル放射性廃薬物貯蔵所に関する放射線基準を提案した。

公衆の健康や安全を強化することには全く関係のない別の地下水基準によって、貯蔵所の設計は実際には公衆の健康や安全を防護しないようなものになってしまう。科学アカデミーは、勧告するにあたってこのことを認識した。

NEI は基準に関する公聴会の場で、貯蔵所の設計を地下水基準に適合させるには、より広い範囲の地域の山中に、換気システムを備えたより多くのトンネルを掘り、この中に少数の廃棄物コンテナをおさめなければならない、と指摘した。設計の中にそうした不要な要求を取り込むことよって、公衆にリスクがもたらされることになる。これは、大規模でよリオープンな貯蔵所が必要になるため、掘削と貯蔵所の操業時に、自然放射線源である多量のラドンが放出され、これによって全体としての放射線被曝量が増加するためである。

NRC は昨年11月、公衆の健康や安全を防護するための極めて保守的な別の地下水基準が必要であるということを EPA が示せないでいることを非難、この問題についての NRC としての評価を下した。NRC は、「提案された規則には根本的な欠陥があり、EPA としても最終規則をまとめる前に再考すべきである」と確信している。


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