[原子力産業新聞] 2000年3月23日 第2030号 <3面>

[仏議会] 科技評価局、廃棄物政策報告を容認

 フランス議会の科学技術オプション評価局(OPECST)が放射性廃棄物管理政策に関するM・リバジ議員の新しい報告書の勧告を容認したことが13日付けで明らかになった。

 反原子力団体の一つであるCRII−RADの創設メンバーでもある同議員は、昨年10月に最初の報告書を議会に提出したが、廃棄物の裾切り値に関する記述など内容の一部を修正するよう求められていたもの。人工放射性核種の排出量を実質ゼロに近づける研究開発などを勧告した新しい報告書は、今年中に議会で審議予定の新たな原子力監視規制法案の中に盛り込まれる見通しだ。同議員がまとめた「放射性廃葉物が公衆の健康と環境に与える影響」で実施を勧告されている主な施策は次の通り。

 ▽2020年を目標に、人工的に作りだされる放射性核種の排出量をゼロに近づけ、環境中に元々含まれるこれらの核種と放射能レベルがほぼ同じになるような研究開発を推し進める。

 ▽放射性廃棄物を環境中に放出できる期間に制限を設ける可能性、また、それぞれの原子力施設において放出量削減目標値や目標期限を明確に設定する可能性についても審議する。

 ▽外国からの委託再処理契約には固化体の返還に期限を定める。

 ▽放射性廃棄物の貯蔵において必要とされる期間の長さに鑑み、すべての貯蔵施設の長期的な安全性に関して詳細な調査を実施する。

 ▽ICRP勧告に基づいて今年中に施行に移される放射線防護に関するEU指令に合わせ、どの程度の汚染を放射性廃棄物とするかを明確に定義し、それ以下のレベルの廃棄物は自由に放出することを許可する。

 ▽放射能の総量だけでなく種別毎にも自由に放出できるレベルを設定する。

 ▽放射性核種を意図的に照射した加工食品については現行の規制を維持し、取扱作業員や大衆に対する事実の周知を徹底する。

 ▽全国の甲状腺がん患者の数を登録するとともに既存のがん患者登録データと統合する。

 ▽原子力発電所従業員が現在受診しているのと同等の健康診断を下請け作業員にも義務づける。

 ▽放射性廃棄物および放射性物質の放出に係わるすべての問題に厚生省を全面的に参加させる。


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