[原子力産業新聞] 2000年4月6日 第2032号 <3面>

[ロシアTENEX] 年間輸出、20億ドルに

 ロシア原子力学会が3月14日付けで伝えたところによると、ロシア原子力省の対外貿易機関であるTENEXによる原燃サイクル関連物品およびサービス輸出事業が順調に業績を伸ばしており、昨年1年間の収益は総計20億ドル(2120億円)以上にのぼっている。

 外貨獲得の主力商品となっているのは原子力発電所用のウラン燃料集合体で、昨年は5億ドル(530億円)の収益を上げたほか、関連物質とサービスの輪出では92年の6億ドルが99年には16億ドル(1700億円)と2.7倍の伸びを記録したもの。TENEXが欧米方式の事業戦略を採用して以来、過去10年間に獲得した収益総額は130億ドル(1兆3780億円)に達しているが、原子力省のY・アダモフ大臣は「今後は本格的な国際競争の波に晒されることを覚悟している」とコメントした。

 原子力省は好実績の要因として次のような点を挙げている。@冷戦終結後に米国と結んだ「剣を鋤(すき)に変える協定」により、ロシアの核解体から出る高濃縮ウラン500トンを原料とする燃料を米国が20年間で購入してくれることになっており、先月までの購入総額はすでに1800万ドル、低濃縮ウラン換算で1487トンに達したA英国、ベルギー、ドイツ、スペイン、フランス、フィンランド、スウェーデン、スイスの電力会社など長期的な顧客も含め、ロシアは50か国以上、480もの企業と緊密な取り引き関係を維持しているB欧州連合諸国が必要とするウラン燃料の28%の供給実績がある――など。

 ロシアはさらに、昨年5月に韓国と原子力の平和利用協定を結んだほか、昨年12月からは南アフリカ共和国向けの原子力産業輸出を開始。今年1月には日本の東京電力が、コスト削減と輸入元の多様化を図るためロシア産ウラン燃料の購入を決めている。


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