[原子力産業新聞] 2000年4月20日 第2034号 <2面>

[原子力委員会] 安全確保など重点

原子力委員会は3月31日、「2000年度原子力研究、開発利用及び利用に関する計画」を決定した。その中で、@安全確保防災対策の充実・強化A国民の理解促進への取組B核燃料サイクルの確立に向けての着実な取組C高レベル放射性廃棄物処分対策の充実・強化Dわが国の平和利用技術を活用した国際協力の推進E未来に向けた先端的研究開発の推進F今年中の策定を目指した原子力長計等−に特に重点を置くこととしている。

同計画は冒頭で、昨年の臨界事故により安全確保や防災対策だけでなく、原子力産業のあり方などの課題を与えられたとし、これらについて長計審議の場で検討を進めていくとするとともに、原子力のエネルギー提供に果たす役割や意義に対する国民の理解を一層深め信頼を獲得し原子力の長期的定着のために、立地地域共生を図っていくことが重要との認識を示している。その上で各施策の実施に際して、安全確保・防災対策については事故の教訓を踏まえ原子力災害対策特別措置法等に基づいて、オフサイトセンター整備など、万全の体制で臨むこととしている。

核燃料サイクルの確立では、MOX燃料製造データ問題に対する早急な対策が講じられ、プルサーマル計画が直実に進むとともに、六ヶ所際処理工場の建設・運転使用済み燃料貯蔵事業の具体化が推進することを求めている。さらに「もんじゅ」や東海再処理施設の運転再開に向けた諸環境整備、高レベル廃棄物処分事業の推進、それに伴う広報にも努めていく。

また長計改定については、円卓会議の提言、国民の意見等を府編めて幅広い審議を行い、年内に策定する。来年1月からの省庁改革に伴い、「内閣府」に置かれる原子力委は、これまで以上に行政全般を高い立場から見下ろし、民間活動の自主性を尊重しつつ、国全体としての総合戦略を描くとともに、国内外の情勢の変化に的確に対応できるよう、柔軟な政策運営が求められるとの見方から、今後は内外の動向を視野に入れた総合的な分析・評価を行うとともに、国民各界各層からの公聴機能強化等を図っていく。


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