[原子力産業新聞] 2000年4月20日 第2034号 <3面>

ウラン生産量が12%減少、米誌が指摘

米国で発行されているUXウィークリー誌で、昨年西側世界で出産されたウランの総量が12%急落し、6200万ポンドに留まったことが明らかになった。

同誌によると大幅減産の主な原因は民営化した米ウラン濃縮会社(USEC)のストックやロシアの高濃縮ワラン供給によりウランの世界市場で在庫がだぶつき続けているためで、この供給過剰状態は市場関係者の予想を裏切ったと指摘した。同誌はしかし、今年はカナダの新たな大型鉱床であるマッカーサーリバー鉱やマックリーンレイク鉱、豪州のオリンピックダム鉱でかなりの増産が見込めることから、西側世界による生産量は6800万ポンドまで持ち直すだろうと予想。また、2005年にはカナダのシガーレイク鉱、豪州のジャビルカ鉱も商業生産に加わわり、総量は8000万ボンドを超えるとの見方をしている。

西側諸国の中ではカナダの生産が引き続き第1位のシェアを維持しており、全体の35%を占めた。しかし生産量自体はカメコ社によるキーレイク鉱とラビツトレイク鉱での減産が響き、25%減の2140万ポンドとなっている。ただしCOGEMAがクラフレイク鉱で採掘した量は320万ポンドで前年より18%増加した。なお、カメコ社は今年8月からマクリーンレイク鉱の操業を年間150万ポンドの生産量を見込んで開始するほか、マッカーサーリバー鉱では12月に採掘を始める計画。一方、同社が2001年に予定していたシガーレイク鉱の操業開始は市場の状況を考慮して2002年に延期されている。

第2位につけているのが豪州で、シェアは西側世界全体の26%。生産量自体はカナダと違って増えており、去年は22%アップの1560万ポンドだった、この中でウエスタン・マイニング社(WMC)はオリンピックダム鉱の拡張計画によって名目上の生産能力を1020万ポンドに、実際の生産量も98年実績の倍近い710万ポンドを達成した。一方、生産量の削減を決めたエナジー・リソーシズ・オブ・オーストラリア(ERA)社の生産量は約5%減の850万ポンドだった。

アフリカ大陸中部のニジェールとガボンではCOGEMAによる採掘量が28%近く落ちて840万ポンド程度だったが、西側全体でのシェアは13%を占めている。アコウタ鉱とアルリト鉱の生産量も22%減り76お万ポンドに留まった。南部のナミビアでの生産量は安定しており、合計で240万ポンドとなった。高品位のウランが採れるため、今年のシェアは10%から30%の聞で伸びると予想されている。

米国の生産量も1%減の465万ポンドだった。このうちカメコ社の子会社によるハイランド鉱およびクロウバット鉱での生産は170万ポンドに、リオ・アルゴム・マイニング社によるスミスランチ鉱およびアンブ□シアレイク鉱の生産量は180万ポンドとなっている。

なお、旧ソ連諸国を含めた世界全体の生産量もやはり減少傾向にあり、99年は8%以上低下して8080万ポンドになると見積もられている。


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