[原子力産業新聞] 2000年4月20日 第2034号 <3面>

[英・UKAEA] 燃料管理で意見調査

英国原子力公社(UKAEA)は6日、スコットランドのドーンレイ・サイトで94年に閉鎖したプロトタイプ高速炉(PFR)の燃料約25トンの管理方法を決定するため、6月2日までの日程で全国民を交えた意見調査を実施することになったと発表した。

現在、廃止借置か進められているPFRには、照射済みの燃料13.3トンと未照射燃料11.4トンの合計24.7トンが残っている。これは同サイトの燃料在庫総量109トンの4分の1程度で、在庫のほとんどは一部を除き天然ウランと劣化ウランだ。これらについてUKAEAは当初、ドーンレイ敷地内の高速炉燃料用再処理工場で処理することを計画していた。

しかし、96年9月に同工場の主要な溶解槽から漏洩が発見されたため、政府は受注済みの契約が切れるのを待って98年6月にドーンレイでの商業再処理中止を決めた。これにともないUKAEAは、上部組織である英国貿易産業省(DTI)の指示により「環境にとって最良かつ実行可能なオプション(BPEO)」を決定するため、複数の処理戦略について技術的、コスト的な側面、モれぞれが環境と住民に及ぼす影響について明示し、全国的な規模で比較検討することになったもの。

現在検討されている3つの方法は次の通り。@大規模な資本投下を覚悟で再処理工場の溶解槽を取り替え、ドーンレイに残っている燃料を処理するA未照射の燃料だけドーンレイで処理し、照射済み燃料はセラフィールドにある英原子燃料会社(BNFL)の大規摸再処理施設(THORP)で処理してもらうBとりあえず中間貯蔵に適した状態まで処理し、最終的には直接処分など将来の政府方針にゆだねる−など。

UKAEAはPFR燃料について、「プルトニウムを含んだ特殊な燃料なので取扱いにも配慮が必要だ」と指摘。「どれも決して簡単な方法ではなく、コストもかかるが、責任を持って対処していきたい」との見解を表明した。


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