[原子力産業新聞] 2000年4月20日 第2034号 <4面>

[サノヤ産業] 中性子線遮へい材を納入

建設会社のサノヤ産業(栃木県鹿沼市、橋本照夫社長)が開発した中性子線遮蔽材「クラフトン−C1」が防衛庁からの受注を受け、このほど自衛隊の化学防護車用遮蔽材として納入された。

今年6月頃に施行される原子力災害対策特別措置法では、緊急事態の際には自衛隊も対応することが定められており、高度な放射線遮蔽性能を持つ化学防護車が求められているが、JCO臨界事故では、中性子線などを遮蔽する装備や機材がなく、化学防護車が現場に近づくことができなかった。「クラフトン−C1」は、プラスチック系樹脂に大量の水素を封じ込めて製造したもので、熱に強く、厚みが増しても透明度が落ちないのが特徴。合同受注したのは、縦60センチ、横150センチ、厚さ6センチの板状を4枚組み合わせたもので、24台分を納入した。化学防護車の全面に取り付けるための条件であった透明度が高いこと、中性子線量を運転席に届くまでに5分の1以下に低減させることをクリアした。

放射線の中でも透過力の大きい中性子線やガンマ線は人体や機器に影響を及ぼすため遮蔽が必.要だが、従来のポリエチレン製などの遮蔽材は加工性や耐熱性に問題があり、使用方法などに制限があった。同社ではこれらの問題に対応するため、船舶技術研究所との共同研究により、今回の「クラフトン−C1」を含むシリーズを開発、これまで放射性廃棄物圧縮ペレット収納容器や放射性廃棄物容器、中性子線源保管容器などで使用されている。


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