[原子力産業新聞] 2000年4月27日 第2035号 <2面>

[通産省] 総合エネ調、エネ政策見直し作業開始

実現性ある見通しに

長期エネルギー需給見通しの改定も視野に入れた、総合エネルギー調査会 (通産相の諮間機関) の総合部会 (部会長・茅陽一東大名誉教授) は24日、第1回会合を東京・千代田区の通産省会議室で開催した。伸び悩む日本経済の影響などにより、COP3 でわが国に課せられた温室効果ガス削減目標 (90年比 -6%) 達成のために98年に策定された現行需給見通しての想定と、エネルギー需給面の現状との間にギャップが生じていることから、深谷通産相が「エネルギー政策の再検討を行う揚」として立ち上げを求めた同部会では、総合エネ調全休で統制をとりつつ、7月頃にも「エネルギー政策ワーキンググループ」を設置するなど今後約1年をかけて10回程度の審議を重ね、来年の春〜夏頃には長期エネルギー需給見通しを含めた取りまとめを策定する計画だ。

冒頭、挨拶した深谷通産相 (代読・河野資源エネルギー庁長官) は総合部会の審議を進めるにあたり、総合エネ調の三部会 (省エネ、新エネ、原子力) の審議においても個別政策のあり方について検討を行うなど、総合部会の審議に沿った形で進めることも必要と述べ、来年策定予定の長期エネルギー霧給見通しは、総合エネ調全体を挙げて取り組んでいく方針を明らかにした。

また部会長に就任した茅氏は、これまでの日本の経済成長と CO2 排出量との間に強い相関性があったことに懸念の意を表明。「今後は相関を持って推移することは避けなくてはならない」と述べるとともに、(1) 安定性 (2) COP3 の目標の達成 (3) 自由化への対応 (4) 経済の適正な発展を満たすようなエネ政策の策定が「我々に課せられた使命だ」と、今後の審議の重要性を強調した。また同氏は、策定する長期エネ需給見通しについては「実現出来るものにしたい」と述べ、「挑戦する『価値ある選択』」と位置づけられた現行見通しとは、若干違う方向性で策定する方針を示した。

その後事務局が、省エネルギー対策の現状および、各エネルギーをめぐる最近の情勢変化について説明を実施。引き続き行われた意見交換では、他省庁や長計策定会議との連携を深める必要性や、「環境税」導入の可能性を探る必要性が指摘された。

同部会は今後、6月に有識者からの意見聴取や原子力部会など他部会からの報告聴取を行った後、7月頃に論点整理を行い、部会の下に「エネルギー政策ワーキンググループ (WG)」を設置して基本的考え方などについて検討を実施。そして来年1〜4月頃にはWGや関係部会の検討を踏まえて今後のエネルギー政策の基本的考え方・複数シナリオなどについての検討を行い、来年春〜夏頃を目処に、取りまとめ (今後のエネルギー政策のあり方、需給両面の各種施策、長期エネルギー需給見通し) を策定する計画だ。なお、次回会合は6月2日。第1回目の外部有識者からの意見聴取が行われる予定。


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