[原子力産業新聞] 2000年4月27日 第2035号 <3面>

[フランス] 砂浜で放射能測定へ

仏防護本部「危険はないが念のため」

フランスの電離放射線防護木部(OPRI)は4日、地中海に面したカマルグ地方のビーチの砂から自然放射線より高いレベルの放射能が測定されたという前日の報道に対し、「詳細な調査を実施して結果を公表する」との方針を明らかにした。

この報道は反原子力の環境保護団体であるCRII-Radの声明によるもので、放射能は同地方の通常レベルの5倍から50倍ほどだったと指摘しながらも、「一般大衆へのリスクは非常に低い」との認識を表明している。また、原因についても人工の放射性核種が含まれていないことから、原子力施設から出た廃棄物と言うよりは、突然に発生した放射性物質が非常に長い期間を通じて濃縮・蓄積された可能性が高いことを強調した。ただし、一般大衆のビーチヘの立ち入り問題もあり、この現象について詳細に調査するよう国の放射線防護機関に要請していたもの。

OPRIとしてはCRII-Radの発見について精密なサンプリングや分析を含めた詳細な調査を行う方針だが、カマルグ地力で判明した程度の計測結果は他の地域の比較的高い自然放射線と同等のものと判断しており、現段階ではビーチヘの立ち入りを制限する理由はないと考えていることを明らかにした。OPRIはまた、平均的なフランス人が1年間に浴びる自然放射線は地域的な地層の差異により2〜3ミリシーペルト(mSv)にばらついていると指摘。これだけの量を追加で浴びるためには汚染ビーチで2,000〜3,000時間、寝ていなくてはならず、万一、子供がビーチの砂を飲み込んだとしても年間平均被曝線量の10%以下が追加される程度だと強調した。


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