[原子力産業新聞] 2000年4月27日 第2035号 <4面>

[サイクル機構] 「個人被曝管理棟」を公開

走行式測定ロボットなど、万一に備え最新装備

核燃料サイクル開発機構は、東海事業所構内に「個人被曝管理棟」を完成させ、3日から運用を開始しているが、このほど従業員の被曝管理意識を高める安全強化月間に因んで、各種モニタリング車両・ロボットなどの展示・デモンストレーションと併せて、建屋内部を報道関係者に公開した。

この「個人被曝管理棟」は、従業員らに対する定常的な個人被曝線量の測定や評価などを行うために、既存の安全管理等の東側に昨年から建設を進めてきたもので、アスファルト固化施設事故の経験および、昨年の臨界事故の教訓を踏まえ、万一の際には多数の人たちの体内放射能のスクーリングを迅速に行えるように、作業者個人の放射線量を測定する「TLDバッジ」の読み取り装置、各種放射線測定機器、内部被曝モニタリングに使用する「全身カウンタ」等を取りそろえている。

また管理棟開設を期に、安全管理部門の業務を従業員らに紹介するために行われた展示会では、各種機器・システムの他、モニタリング車などが展示された。この車両は緊急時に施設周辺の住民等に対する内部被曝モニタリングや資機材の運搬を行い、平時には放射線に関する知識普及に向けたPA・広報活動などに用いられる。また事故時に移動モニタリングもできるよう、空間γ線量率計やダスト採取装置が搭載されているほか、対策本部と連携をとるための通信設備、各装置へ電源を供給する発動機なども備え、迅速な情報提供が行える機能を持っている。

また隣の安全管理棟に移ると、管理区域内を無軌道方式に自動走行し、搭載された機器により作業環境のモニタリングを行うロボット「走行式放射線モニタ」が運転されている。身長130センチメートル、白いボディで、超音波センサー等により障害物を検出するなどし、最大300か所の登録停留所間の自動走行が可能だ。現在、このロボットはプルトニウム燃料第3開発室で活躍し、管理区域内での放射線測定の自動・省力化を図っている。

その他管理棟には、昨年の臨界事故時での機構の支援状況をまとめたパネル群も掲げられていた。


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