[原子力産業新聞] 2000年5月11日 第2037号 <3面>

[カナダ] 安全委設置で意見聴取

新原子力管理法、年内にも発効へ

カナダの原子力管理委員会(AECB)は1日、原子力安全管理法の改正に伴って新たに設立される予定の原子力安全委員会(CNSC)のあり方に関する方針案を公開し、7月21日までの機関に一般からの意見を広く聴取すると発表した。

カナダの現行の原子力安全管理法は46年に策定されたもの。その後50余年を経た今回の改正で、AECBは国内原子力産業における一層近代的かつ効果的な規制の枠組み整備を目指している。すでに一般的な原子力安全管理や放射線防護、原子力施設と関連機器、放射線機器、原子力輸出入に関わる核不拡散、放射性物質輸送など10項目に関する規制案が過去3年間の関係各位との審議を通じて準備され、3月23日のAECB会合では原則的な承認が得られている。

主要な改正点としては、@ICRP勧告に従って放射線許容被曝量を低く設定するA原子力施設の区分を変更するB原子炉サイトの保安規制を強化するC核物質のパッケージング・輸送に新たな規制を導入するD原子炉の運転者を5年ごとに再認定するE放射性同位元素で治療を受ける患者に対し、病院側が放射線防護上の留意情報を与えるよう規制する−などが含まれると伝えられている。

新法の枠組みの中ではAECBもまたCNSCとして生まれ変わり、原子力開発に伴う環境保護に力を入れるとともに国民の健康と安全および保証に関する全責任を継続して担うことになっている。このため、今後新法の下でCNSCの規制を受ける立場の人々から確固たる承諾が得られるよう、CNSCが規制プログラムを実施する上での基本理念や方針、基準、手順、細則などを背景説明の文書とともに一般に公開し、集めた民意を審査・反映させていくことになったもの。新しい原子力安全管理法は内閣などの承認を得て年内にも発効する予定だ。


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