[原子力産業新聞] 2000年5月11日 第2037号 <3面>

[スウェーデン] 世論調査で86%が原発支持

昨年11月にバーセベック1号機が閉鎖されたスウェーデン南部地域で実施された世論調査で、86%の住民が「1、2号機ともに運転を続けるべきだ」と回答していたことが明らかになった。

この調査は同発電所を所有するシドクラフト社の委託で同国の世論調査実施機関であるデモ社が実施したもの。スウェーデン南部地域に加え、バーセベック1号機の閉鎖にともなう不足分の電力を石炭火力発電所から輸出している隣国デンマークのコペンハーゲンも調査対象地区となった。その結果、スウェーデン南部では住民の86%が同発電所の2基の運転継続を望み、完全な閉鎖に賛成する住民の割合は14%に留まる一方、コペンハーゲンでは両ユニットを残すことに賛成の意見は39%という結果だった。同発電所はコペンハーゲンから細い海峡を挟んでわずか25kmに立地しており、デンマーク政府はスウェーデンに対する同発電所の閉鎖要請の中で同発電所を「脅威」と表現していた。

一般的な原子力発電所のリスクについては、調査対象となった両国の合計500名の大多数、すなわちスウェーデン南部では88%、コペンハーゲンでは73%が「心配していない」と回答。バーセベック発電所そのもののリスクについてもスウェーデン南部の92%が「危険は非常に小さい」と答えている。スウェーデンではさらに同発電所を完全に閉鎖した場合の代替電源を訊ねているが、一部の回答者が風力と太陽熱を挙げたのみで、大半の意見は「わからない」だった。

シドクラフト社の広報担当者は今回の調査で、多くの住民が「バーセベック1号機の閉鎖に伴い温室効果ガスを出す石炭火力を炊き増ししなくてはならないこと」を理解しているのがわかったと指摘。同発電所を完全に閉鎖してしまえば、風力や太陽熱では電力不足を補えず、どこからか火力発電による電力を購入せざるを得ないとの考えを改めて強調した。


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