[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <1面>

[自民党調査会] 原子力立地振興法案まとめ

内閣府に「立地会議」、今国会か臨時国会で成立目指す

自由民主党・政務調査会の「電源立地等推進に関する調査会」(会長・桜井新衆院議員)が中心となって議員立法化を目指している「原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法」案がこのほど明らかになった。同法は原子力発電の推進等に資するため立地周辺地域の広範な整備に必要な特別措置を講じていこうというもの。法案では内閣総理大臣を議長、議員は関係省庁の大臣から成る「原子力立地会議」を創設。「原子力発電施設等立地地域」を指定し、その地域の「振興に関する計画」に基づいて交寸税措置、金融税制上の措置などの支援措置を講じるものとなっている。自民党としては同法案を今国会あるいは臨時国会で成立させたい考えだ。

今回の特別措置法案について、桜井氏は12日の全原協総会の席上で「今までの制度の見直しでも対応できないようなこと(例えば避難道路のように立地地域ばかりでなく周辺地域を含めた広範囲な地域での取組みが必要なもの)を国の責任でやるべきものについて適用を考えている」と説明している。来年4月の施行を予定。

「原子力立地会議」は内閣府に置き、議員は総務、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境の8省大臣で構成する。法案では「立地地域の指定」について、内閣総理大臣が都道府県知事の申し出に基づき、原子力立地会議の審議を経て指定することができるとしている。また立地地域振興計画案の作成は都道府県知事が行い、内閣総理大臣に提出する。知事の申し出や作成にあたっては関係市町村長の意見を聞くことを義務付けている。同計画案は原子力立地会議の審議を経て決定される。

振興計画の内容としては立地地域の生活環境、産業基盤等の総合的な整備等に関するもので、@基幹的な道路、鉄道、港湾等の交通・通信施設の整備A農林水産業、商工業その他の産業の振興・観光開発B生活環境の整備C高齢者の福祉その他の福祉の増進E防災及び国土の保全に係わる施設整備E教育、科学技術及び文化の振興−などを掲げている。これらの事業は国、地方公共団体その他の者が実施する。

一方、振興計画での道路、港湾、漁港、消防用施設、義務教育施設については国の補助率の嵩上げ、地方債の元利償還に対する交付税措置などの特例措置を講ずるものとするとしている。

この法案について、細田弘之議員は全原協総会で「今月7日に関係市町村全ての説明を終え、後は実質3週間で今国会あるいは臨時国会で成立すべく取り組んでいる」と説明した。説明を受けた全原協メンバーは一様に同法案について歓迎の意を示しており、振興計画策定作業に市町村も参加したいと希望している。


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