[原子力産業新聞] 2000年5月18日 第2038号 <3面>

[米エネ省] ガラス固化施設建設でBNFLとの契約打ち切り

法外な見積り額など理由

米国エネルギー省(DOE)のB.リチャードソン長官は8日、ワシントン州ハンフォードにおける高レベル放射性廃棄物ガラス固化施設の建設計画で英原子燃樹会社(BNFL)の米国子会社との契約を打ち切ることになったと発表した。

同長官は打ち切りの理由を「BNFL側の提示した見積もり額が法外に高く、様々な点で不適切なため」と説明。DOEとしては出来るだけ早い時期にハンフォード・サイトを浄化したいと希望しており、施設の設計作業や建設スケジュールに影響が出ないよう年内にも入札を実施して新たな発注先を決定したいとの意向を明らかにした。

同長官によると、施設の設計、建設、操業、資金運営にかかる費用としてBNFLは98年8月、69億ドルという額を提示していたにも拘わらず、この額は18か月後の今年2月に80億ドルに膨張。その2か月後にはさらに130億ドルに、4月24日に最終的に提示された正式な見積もり額は152億ドル(1兆6,500億円)に膨れ上がっていたと強調した。

コスト以外の点では、「設計面の技術は健全であるものの、過剰に保守的で契約者側のリスクを米国政府に転化しているように見受けられる」と指摘。このほかにも、何の前触れもなく実施された一連の幹部人事移動などBNFLの管理体制も含め、同社との既存の契約における安全性や品質管理についてもDOEが不安を抱くに至った経緯を説明している。

今後は新たな発注先に滞りなく作業を移行するため、DOEとしては移行期間中は現在の設計チームが作業を続けられるよう正式に手続きを取るほか、年内に改めて競争入札を実施し、BNFLが計画の初期段階で開発・実証した技術を統合するなどの対応策を取ることを明らかにした。


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