[原子力産業新聞] 2000年5月25日 第2039号 <3面>

[欧州議会] 再処理とMOX製造で中止動議を否決

データ攻ざんでも議論

18日付けの報道で、欧州連合(EU)のコントロール機関である欧州議会が、使用済み燃料の再処理とMOX燃料製造の中止を求めて緑の党所属議員らが提出した動議を圧倒的多数で否決していたことが明らかになった。

動議否決に投じられた票数は合計347票。賛成票は125票に留まり、34名が棄権した。欧州議会ではさらにこの後、英原子燃料会社(BNFL)によるMOX燃料製造データ改ざん事件に関して長時間にわたって議論した結果、同社がセラフイールドMOX燃料製造工場の安全性改善のために採用した行動計画について、これを支持する代替決議を賛成465、反対19、棄権23で可決している。

この議論の中ではアイルランドの議員は、「英原子力施設検査局(NII)がまとめたセラフィールド工場の安全性に関する報告書は途方もなく告発的な内容であり、BNFLが信頼に値しない企業であることを示している」と断言。これに対して社会党系の議員は「NIIが提示したのは安全に関わる勧告と今回問題となった品質保証手順に関するチェックであり、これを安全性をないがしろにしたスキャンダルと取るのはセラフィールドエ場で働く従業員とサイト周辺に居住するその家族達を侮辱する行為だ」と反論した。

EUの環境委員であるM.ヴァストロム女史も、「NIIの先の報告書によって同工場で作られたMOX燃料が安全に使用できることが保証された」と強調している。同委員はまた、EU域内の安全基準をこの機会にEU指令によって共通化すべきではとの提案に対しては、「現時点で進むべき最良の方向とは断定できない」と述べ、原子力施設の安全性はEU各国の責任に委ねられている問題で、各国とも変更を望んでいないはずとの考えを明らかにした。


Copyright (C) 記事の無断転用を禁じます。
Copyright (C) 2000 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM,INC. All rights Reserved.