[原子力産業新聞] 2000年6月15日 第2042号 <3面>

[米露] 兵器級プル処分で合意

MOX利用と固化を併用

 モスクワを訪れていた米国のクリントン大統領は4日、核兵器削減に関するロシアのプーチン大統領との会談の中で、両国が今後20年間に兵器級プルトニウムをMOX利用とガラス固化の二つの方法でそれぞれ34トンづつ処分していくことで合意に達した。処分費用や賠償責任などいくつかの問題点が残されているため、協定の調印には今後数週間を要すると見られている。

 これはエリツィン大統頼時代の98年、両国が合意した兵器級余剰プルトニウムの段階的削減原則についての共同声明に基づいている。94年1月に両国が結んだ、核兵器の解体から出るウランを西側諸国の原子炉燃料に混ぜて利用する「剣を鋤(すき)に変える協定」とは並行して実施されるもので、原子炉での燃焼利用、高レベル放射性廃案物と混合してガラス固化−の二つの処分方法が取られる予定だ。

 米国側が34トンのうち25.5トンをMOX燃料に加工利用し、残りの8.5トンを固化する予定なのに対し、ロシアでは少なくとも33トンまでをMOX燃料として利用する考えだと伝えられている。また、この計画に要する費用としてはロシア側が20年間で17億5,000万ドル(1,890億円)、米国側は40億ドル(4,320億円)に達すると見積もられている。

 この件について米国政府高官は、「首尾よく計画を遂行するため、国際的な基金で資金調達することも検討中だ」と明言。米国議会がすでに、国内での計画を進めるために2億ドル(216億円)、ロシアでの計画支援のためにさらに2億ドルを計上している点を強調した。費用のうち相当の額がプルトニウム燃料転換・加工施設の設計や建設、プル燃料が装荷される原子炉の改造に使われると見込まれている。この高官はまた、7月の沖縄サミットで両国が国際的な資金調達システムの構築を共同提案するよう期待していることも明らかにした。


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