[原子力産業新聞] 2000年6月22日 第2043号 <2面>

未届出のモナザイト鉱、各地で見つかる

 科学技術庁は12日〜14日にかけて、警察から(原子炉等規制法に基づく)未届出の「モナザイト鉱」所在の連絡を受け、地元自治体とと もに現地調査を行った。昨年11月から都内建設業者から相談を受けて調査を進めてきたが、今回の調べで多い所で鉱石十数トンが発見され、また空間線量率の高い箇所もあったため、同庁では原子力安全局長をリーダーとする「核原料物質問題対策チーム」を発足させるなど、警察や専門家らの協力のもと対策を急いでいる。

 「モナザイト」はセリウム他を成分とし、核燃料トリウムの原料ともなる鉱物で、モナズ石とも呼ばれる。今回鉱石の所在が発覚したのは、昨年11月に科技庁が、都内建設業者から工事契約の担保として預かった鉱石について相談を受けたことに始まり、その後の専門家による調査や元の所有者への聴取により明らかになったもの。

 15日までに警察からモナザイト鉱所在の連絡があったのは、長野県辰野町、埼玉県熊谷市、同大宮市の3か所。詳細については今分析中だが、最も多量と見られる長野では、推定十数トンが現在使われていない建物内に保管されていた。空間線量率は、いずれも直ちに周辺住民・環境に影響を及ぼすレベルではないが、現在店の建っている大宮では、数年前にモナザイト鉱がまかれたとみられ、床表面の数値が最大約41マイクロシーベルト/時にも上っていたため、施錠・立ち人り制限の措置をとり、回収作業が検討されることになった。


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