[原子力産業新聞] 2000年7月13日 第2046号 <3面>

[OSPAR加盟国] 再処理の停止勧告を決議

英仏棄権で実効性なし

 大西洋北東部の海洋環境保全を目的とするOSPAR協定の締約国は6月30日、コペンハーゲンで開催した会合において非再処理オプションを考慮するよう締約国政府に勧告する決議を承認した。

 再処理施設から海洋への放射性物質排出または放出を認めた認可を早急に見直すよう求めたこの決議は、実質的に使用済み燃料を適切な施設に乾式貯蔵することを勧告している。OSPAR協定には欧州15か国(ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、ルクセンブルク)および欧州連合(EU)が加盟しているが、決議に賛成したのは再処理設備を持たない12か国。見解を保留した国には拘束力がないことになっており、実際に再処理を行っている英仏が票決を棄権したことから同決議に実効性はないと見られている。

 しかし、OSPAR委員会のR.ゴード副委員長は「今回の決議によって英仏両国に政治的な圧力を加えることができる」と強調。環境保護団体のグリーンピースも「再処理事業者の敗北を意味する」と述べて同決議を歓迎した。

 決議後に声明を発表した英原子燃料会社(BNFL)は、今回の会合に先立って英国政府が98年に同協定のシントラ宣言の公約を達成すべく、セラフィールド施設からの放射性物質放出削減で具体的な目標値と計画案を作成したことに言及。2020年までに大西洋北東海域の放射性物質濃度を実質的にゼロにすることを目指した同宣言の実施に向けて行動を起こした最初の国になった点を強調するとともに、BNFLもこの計画で大きな役割を担っていると指摘した。

 フランス核燃料公社(C0CEMA)は今回、正式なコメントを差し控えている。しかし、一週間前にラアーグ再処理工場からの放射性物質放出について発表した声明では、OSPAR委員会に代わってOECD/NEAが実施した調査で、再処理事業による環境への影響は小さいと確認されている事実を強調した。


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