[原子力産業新聞] 2000年7月13日 第2046号 <4面>

[原研報告会] 梅棹忠夫氏が講演

太平洋諸国と友好を

 日本原子力研究所は6月21日「報告と講演の会−21世紀の科学技術と原研」を東京都内で開催した。梅棹忠夫国立民族学博物館顧問を招いた「日本とは何か」と題する特別講演では、豊富な資源を持つオーストラリア、ブラジル、カナダを「太平洋ABC諸国」と称し、今後の友好を図るべきことが提唱された。

 報告会では高エネルギー加速器研究機構と共同で進めている「大強度陽子加速器計画」、大型放射光施設「SPring-8」を用いた先端研究、先端基礎研究センターを活用した国際的活動などが紹介された。

 「Q&Aフォーラム」では、参加者から大強度陽子加速器計画の経済効果、社会への貢献などについて質問が出され、それに対して原研は、先端研究は従来の社会に先見的概念を育むことで、周辺技術が裾野を広げる意義や意外性の多い成果が期待できることなど、原研の研究開発におけるスタンスを説明した。

 また、民族学の権威である梅棹氏は特別講演で、世界各地の文明発展の歴史を概括した後、太平洋諸国での日系人大統領の活躍、豊富な地下資源の可能性を述べ、わが国が今後それらの国々と交流を深めていく必要があることを訴えた。


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