[原子力産業新聞] 2000年8月3日 第2049号 <3面>

[トルコ] アックユ原発建設を凍結

「建設費の調達が困難」

トルコ政府は7月25日、国際競争入札を実施して進めていたアックユ原子力発電所建設計画を経済的な理由により10〜20年間凍結すると発表した。

同日、アンカラで開かれた記者会見の席でB.エシェビット首相は、「少なくともインフレを抑えるために実施している国際通貨基金 (IMF) の経済プログラムが完了するまで原子力開発利用計画は延期せざるを得ない」と説明。トルコ原子力局 (TEAK) が作成した計画評価報告書の結論や経済の専門家による助言を引用しつつ、巨額のローンを抱えることはトルコのインフレを助長する恐れがあり、経済情勢が安定しない現状では30億〜40億ドル (3,300億〜4,400億円) もの建設資金を賄うことは難しいとの見解を示した。

しかしその一方、同首相は今回の決定でトルコが原子力発電利用を完全に断念したわけではないことも強調。10〜20年後には原子力を必要とすることになるかもしれないとの見通しとともに、「一旦経済が安定すれば原子力開発計画は再び閣議の議題に上るはずだ」と明言した。

アックユ発電所建設計画ではカナダ原子力公社 (AECL)、米ウェスチングハウス社、フラマトム社とシーメンス社の合弁企業の三つの企業連合が入札。96年12月には各連合の具体的な入札価格が提示されたが、トルコ政府による最終的な選定は7回にわたり延期されていた。


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