[原子力産業新聞] 2000年8月3日 第2049号 <3面>

[米・DOE] 使用済み燃料の回収遅延で損害額を電力に返還へ

米国エネルギー省 (DOE) のB.リチャードソン長官は7月20日、使用済み燃料回収の遅れが引き起こした電力会社との対立を緩和する対策の一つとして、同国の原子力発電会社が電気料金に上乗せして消費者から徴収して払い込んでいる「放射性廃棄物基金」について、積立て額の割り引きに応じる協定を PECO エナジー社と結んだことを明らかにした。

この協定では両者間の契約修正と言う形が取られており、今回が最初の例。PECO社がペンシルバニア州で操業するピーチボトム原子力発電所 (各110万8,000kW、BWR 2基) に限って適用されることになっており、DOE では今後、同様の協定を原子力発電所ごとに締結する際の枠組みにしたいと考えている。具体的には、DOE による使用瞬み燃料の回収遅延によって PECO 社が貯蔵費などで負担させられたコスト分だけ、今後10年間にわたり最高8,000万ドル (88億2,000万円) まで同社の放射性廃棄物基金への払い込みが減額されることになる。ただし PECO 社は、その損害がビーチボトム原発の使用済み燃料に限り、回収遅延によって直接的に生じた負担であることを証明しなくてはならない。

PECO 社のC.マクニール会長兼最高経営責任者 (CEO) は、「DOE の使用済み燃料引き取り問題で決定的な解決策が出されないのは残念なことだが、今回の契約修正は引き取り遅延のために生じたコストが適切に払い戻される重要なステップだ」と評価。この長期的な義務を政府が果たしていくという点については楽観的であるとの見解を示した。


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