[原子力産業新聞] 2000年8月10日 第2050号 <4面>

[東北通産局] アンケートで原子力など意識調査

「核燃料サイクル必要」は50%強

東北通産局は、国民が省エネルギー、新エネルギー、原子力発電についてどのような意識を持っているかを把握するためのアンケート調査「第4回エネルギー・原子力に関する意識調査」を実施し、このほど結果を発表した。同調査は同通産局が、東北6県に新潟県を加えた7県の県庁所在地 (消費地) および六ヶ所村、柏崎市など原子力施設立地地域9か所から無作為に抽出した成人男女2,000人ずつを対象に3年前から実施しているもので、今回の回収率は48.3%だった。

「主力にすべき発電方式は」の問いに対し「原子力発電」とした回答のうち、「現在」が約35%、「10年後」が18%、「20年後」が約12%となっている。また原子力発電を「安全ではない」とする人の割合が今回調査では「安全」を上回ったが、「かなり安全」とする人の割合は、立地地域が都市部の3倍以上を記録している。

「コストの低い発電方式」を問う質問では、「現在最もコストが低い」は原子力が約27%で最高。次いで水力、石油火力、風力と続くが、「10年後」は太陽光と考える人が約22%となり、原子力 (約21%) を逆転。この傾向は「20年後」以降さらに顕著なものとなり、新エネの技術開発への期待は強いようだ。

一方、核燃料サイクルの必要性について、「必要」とする人は5割強で「不要」(約27%) を大きく上回ったほか、プルサーマルについては「必要」が約49%、「不要」が30%であった。しかしそれらの安全性の問いに対しては、核燃料サイクルで「安全」が20%、「安全でない」が約39%、プルサーマルでは同約19%、約38%となっており、中でも都市部で不安と感じている人の比率が高い傾向にあるという。

「地域振興策」については、「役に立っている」の約53%が、「役に立っていない」(約15%) を圧倒的に上回り、都市部よりも、振興策を肌で感じている立地地域住民からの方が「役に立っている」とする回答が多く寄せられた。

また情報公開については、「公開されている」と感じる人は全体で約33%であったのに対し、「公開されていない」と感じている人は約59%。さらに情報の質については、「知りたい情報が得られている」「正確な情報が得られている」と回答した人は少数にとどまり、課題が浮き彫りとなるかたちとなった。


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