[原子力産業新聞] 2000年8月24日 第2051号 <4面>

[NEI-insight] 認可更新、2番目はオコニー原発

確かな趨勢に

その日、デューク・パワー社のマイク・タックマン氏は大喜びだった。NRC が5月23日、同社の80万kW 級 PWR 3基で構成されるオコニー原子力発電所の運転認可を20年間更新したためだ。

1998年7月から今年5月にかけて、NRC のスタッフは文字通り数千ページに及ぶオコニー原子力発電所の機器、システムの保守およびコンポーネントの交換計画に関する文書のレビューに明け暮れた。

タックマン氏は、22か月間あまりの審査期間中に NRC のスタッフがみせた精力的な活動と公衆の安全確保に対する努力を大いに賞賛した。デューク・エナジー社の会長であるリチャード・プライオリー氏は今回の運転認可更新手続きについて、「これまで私が経験した規制手続きの中で、最も配慮が行き届き、計画的になされたものだ」と評価した。

オコニー発電所は、運転認可が更新された原子力発電所としては、2か月前のコンステレーション・エナジー・グルーブのカルバートクリフス原子万発電所に続き米国で2番目である。このことからも米国における原子力発電所の運転認可更新が一過性の出来事ではないことが分かる。一方、タックマン氏も、「運転認可更新は、一度か二度行われたからといって、他の原子力発電所についても惰性的に行われるようなものではない」と指摘している。

(原子力発電所の運転認可更新を希望する) 電力会社は、適切なエンジニアリング作業を実施しなくてはならないとタックマン氏は述べている。しかし、運転認可手続きは、より洗練された (効率的な) ものになるとみられる。

「何か1つの事実が見つかれば、同じことを100回も繰り返す必要はないのだ」その一例として、タックマン氏はオコニー原子力発電所と同型設計のユニットであるエンタジー社のアーカンソーニュークリアワン (AN0) 1号機を例にあげている。現在、ANO 1号機の運転認可更新の審査手続きを行っている NRC スタッフは、オコニー原子力発電所と異なる部分だけ見れば良いのだとタックマン氏は示唆した。

デューク・パワー社が最初に運転認可更新を計画した時点では、よく分からない点がたくさんあったとタックマン氏は述べている。「運転認可更新の手続きに一体どのくらいの期間と費用を要するのか全く分からなかった」そしてまた、当時、原子力産業界が何の見通しも持っていなかったことを考えれば、運転認可更新自体が可能であるかどうかすら分からなかったのだ。

しかし、今では、運転認可更新をしようとする電力会社の経営者は、「手続きがいつ終わるかについて、きわめて高い確度で予測することができるようになった」とタックマン氏は指摘した。

このことはつまり、電力会社の経営者が自社の原子力発電所に蒸気発生器 (SG) 交換のような投資を行うことが可能となったことを意味する。このような大型投資は原子力発電所の運転認可期間が40年間しかなければ思いもよらないことだ。「運転認可更新があって、初めて (電力会社の経営者は) 60年間の運転期間も可能という目で自社の原子力発電所を見ることができるのだ」とタックマン氏は語る。自社資本の改善により、財務面での確実性が高まると同時に保守費も削減されるのだ。

オコニー発電所の運転認可更新がうまくいったのは、最終的には、そのために力をかしてくれた全ての株主のおかげだとタックマン氏は強調した。また、タックマン氏は、米国議会、米電力研究所 (EPRI)、NRC、米エネルギー省 (DOE) および NEI を含めた原子力産業界のおかげだとしている。


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