[原子力産業新聞] 2000年8月31日 第2052号 <1面>

[経産省] 来年度予算概算要求まとめ

原子力安全・防災対策を強化

2001年1月より発足する経済産業省の来年度原子力関係予算概算要求がまとめられた。一般会計8.3億円 (今年度通産省予算比144.1%増)、電源開発促進対策特別会計 (電源特会) は、立地勘定分が1,370.8億円 (同10.0%増)、多様化勘定分が268.2億円 (同1.0%減) で、総額は1,639億円 (今年度予算比8.0%増) と、大幅に増加している。

経済産業省分として請求された2001年度分資源エネルギー庁予算は、「環境保全や効率化の要請に対応しつつ、エネルギーの安定供給を実現する」との基本目標を掲げ、京都議定書発効 (COP6) に向けた取り組みの促進、長引く景気低迷によるエネルギー消費の停滞、原子力立地の長期化といった情勢の変化に起因する今後の資源エネルギー政策課題に対応すべく、要求がなされている。

このような状況の下、来年度原子力関係予算概算要求は、一般会計8.3億円 (今年度予算額=3.4億円)、電源特会立地勘定分1,370.8億円 (同1,245.9億円)、多様化勘定分268.2億円 (同271億円) の、総額1,639億円 (同1,516.9億円) と、大幅に増額されている。

概算要求の内容を見ると、昨年の JCO 施設での臨界事故の影響および、省庁再編にともない、従来は科技斤所裳分だった原子力に係わる精錬、加工、再処理、廃棄事業関連の安全確保に関する業務が経済産業省の原子力安全・保安院に移管されることから、原子力安全・防災対策関連の費用が、241.2億円 (今年度予算額=203.4億円) と大幅に増額要求された。具体的には防災対策の実効性の向上のための費用として、「原子力発電施設等緊急時対策技術等委託費」が33.9億円 (同17.4億円) 要求されたほか、「原子力発電施設等緊急時安全対策交付金」49.9億円 (同10.6億円) などが要求されている。

また、現在懸案となっている原子力発電所の立地推進については、来年度も積極的に取り組んでいく方針だ。(1)原子力発電施設などの周辺地域の公共用施設の整備を促進することにより、地域住民の福祉の向上および原子力発電施設等の設置の円滑化を図る(2)原子力発電施設等の必要性・安全性に関する国民の理解を得るための広報活動を行う(3)更には PA 予算の整理・統合を行う−との基本方針の下、広報・立地促進のための費用として1,183.2億円 (今年度予算額=1,108.5億円) が要求されている。このうち立地促進分は総額1,093.3億円 (同1,032.4億円) を要求しており、内訳は電源立地促進対策交付金に241.8億円 (今年度予算額=224.4億円)、電源立地特別交付金に486.9億円 (同470.8億円)、電源地域振興促進事業補助金に104.6億円 (同94.9億円)、長期発展対策交付金に82.5億円 (同77.3億円)、産業振興特別交付金に75億円 (同62.5億円) などとなっている。今年5月に「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」が成立するなど進展を見せているバックエンド関連にも引き続き力を入れていく方針で、放射性廃棄物処分に対する取り組みについて、概要説明や意見交換を実施するシンポジウムなどをおこなうための費用「放射性廃棄物広報対策費委託費」に3.1億円が、深地層研究設備促進補助金に3億円が、それぞれ新規で要求されるなどしている。

さらに、ウラン濃縮関連新技術の開発を目指す「ウラン濃縮事業化調査委託費」として、14.6億円が、革新的・独創的な原子力技術開発に資する技術開発を公募で行うための補助金として20億円が、要求に盛り込まれている。


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