[原子力産業新聞] 2000年9月7日 第2053号 <1面>

[原子力予算] 文部科学省、今年並みの概算要求

安全確保と新長計踏まえ、総額は3,188億円

2001年1月に発足する文部科学省の原子力関係予算概算要求の内容が、このほど明らかになった。総額は3,188.2億円 (今年度科学技術庁予算比 0.2% 減)で、今年度並みとなっている。うち一般会計が1,685.5億円 (同 2.1% 減)、電源開発促進対策特別会計 (電源特会) は、立地勘定分386.2億円 (同 0.1% 増)、多様化勘定分1116.5億円 (同 2.8%増) となっている。


文部科学省では、昨年の臨界事故を踏まえた安全確保、防災対策の充実・強化とともに、策定中の原子力長計を踏まえた施策を柱とし、来年度予算概算要求をまとめた。

要求額を機関別にみると、日本原子力研究所は1,065.6億円 (今年度予算比 1.5% 減) となっている。安全確保と防災に関連して、安全性研究に56.2億円、原子力防災対策に5.5億円を要求。大強度陽子加速器計画に向けた中性子科学研究に29.4億円、大型放射光施設関連研究に55.4億円、高温工学試験研究に31.2億円などの要求額となっているほか、新たに着手する研究課題として社会技術研究に15億円が計上されている。核融合研究開発費用としては、今年度予算より36億円減の116.4億円が要求されているが、この中に JT-60 の改修計画のため23.4億円がはじめて盛り込まれた。

核燃料サイクル開発機構は、一般会計298.1億円、電源特会多様化勘定1,046.6億円の合計1,344.7億円の要求額 (今年度予算比 1.0% 減) が示された。来年度より2期目に入る FBR サイクル開発戦略調査研究には34.2億円が計上され、競争力のある FBR サイクル技術の開発を目指す。「もんじゅ」の維持管理に83.2億円のほか、長期停止に伴う設備の点検・検査等に対して新たに15億円が要求された。さらに、高レベル廃棄物処分に係わる技術研究開発費の19.7億円や、「もんじゅ」の安全総点検や東海再処理施設の安全対策の実施に伴う費用としての97億円、原子力緊急時支援・研修センターの運営費4.2億円も計上されている。

来年度より独立行政法人化される放射線医学総合研究所については、今年度比2.2%増の総額154.7億円が要求された。新規に低レベル放射線の生物影響に関する研究費として2億円が計上されるとともに、日本新生特別枠として国立がんセンター等と共同で行う放射線感受性遺伝子研究のために7.1億円を要求しているのが特徴。

理化学研究所は14.2億円増の91.8億円となった。これは、来年度より RI ビーム生成分離装置の制作に着手するなど、RI ビームファクトリー計画が進展するのに伴い増額要求されるため。


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