[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <3面>

[米-カザフ] プル処理協力が進展

FBRの廃止措置

米国エネルギー省 (DOE) のB.リチャードソン長官は2日間のカザフ共和国訪間を終えた後の8月29日に声明を発表し、同国のシェフチェンコ原子力発電所 (15万kW、FBR) の廃止措置などで両国が良好な協力活動を展開していることを明らかにした。

米国は中央アジア地域の安定と経済開発の支援政策の一環として、企業の誘致などを含めた様々な協力活動をカザフで実施している。中でも昨年4月に同国のアクタウで閉鎖された BN-350 型の FBR であるシェフチェンコ炉については、米国はすでに同炉が稼働中の98年から専門家を現地に送って使用済み燃料の安定性を高めたり、盗難の危険性を軽減するなどの作業で協力してきた。

DOE によると、これまでに兵器級プルトニウム2.5トン以上に相当する2,800体近くの使用済み燃料集合体を安全な形でパッケージングしたとしており、米国のみならず世界レベルで核拡散の脅威を減じることができたと強調している。

この協力プロジェクトは来年2月で完了する予定だが、アクタウには未だ300トンの使用済み燃料が残っていることから、両国はその後さらに、使帰済み燃料の長期貯蔵と処分についての協力プロジェクトを実施する計画だ。

シェフチェンコ炉はカスピ海東岸という戦略的に重要な位置に立地していることから、カザフは同炉の使用済み燃料を確実に防護し、同炉自体も安全裏に閉鎖するため米国に支援を要請。99年12月に除染作業やナトリウム冷却材の非活性化および取り出しなどの廃止措置で両国は正式に協力協定を締結した。DOE では、380万ドル (約4億円) 程度の費用を要すると見込まれるこの作業により、兵器級プルトニウムの生産源を絶ち、カスピ海沿岸地域の環境保全にも役立てられるとの考えを表明している。DOE はまた、400万ドル (4億3,600万円) の予算でカザフの9つの機関による研究プロジェクトを支援するとともに、核兵器の専門家達に新たな雇用の機会を生み出すことを検討中であることを明らかにした。


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