[原子力産業新聞] 2000年9月14日 第2054号 <4面>

[電中研] プラントライフマネジメント評価手法を開発

設備運用の高度化を支援

電力中央研究所はこのほど、原子力発電所を構成する機器・構造物の寿命評価を行うとともに、機器の補修や取り替え、あるいは使用環境の改善策の実施時期およびコストとの関係を評価するシステムを開発した。

運転年数が経過するにつれ、原子力発電所の構成機器等にも大なり小なり補修や交換を必要とするケースが出てくる。このシステムはこうした補修・交換のタイミングをはかり、プラントの寿命全体からみて、コスト的にも妥当であるかどうかを判断する際の支援ツールとして電中研が開発したもの。

「長寿命化概略判断用コスト評価システム」、「大型施策実施時期設定プログラム」などの5つのプログラムから構成され、コストも含めてプラント寿命をどの程度延ばせるかマクロ的な評価を行ったり、大型の機器を交換するなどのタイミングを評価するといったプラントの条件に対応した評価が簡易に行える。また、現在では原研と共同で、動力試験炉の解体試験の知見等をもりこんで、運転からプラント寿命の延長、廃止措置にいたるまでの、いわゆるプラントライフマネジメントに対応する「廃止措置・長寿命化計画支援システム」の開発を行っている。

電力業界では、電力自由化等のめまぐるしい環境変化に対応するため、原子力発電プラントに関しても設備運用の高度化をはかって定期検査を短縮、設備利用率を向上させる一方、高経年プラントについて予防保全の観点から機器の交換・補修をすすめて安全性、信頼性の向上を前提としたプラント寿命の延長をはかっている。こうしたなかで、プラントの寿命全体としてのコスト評価は経営的な判断からも重要性を増している。


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